相続税の更正の請求の特則に関する最高裁判決

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令和3年6月24日に最高裁で相続税の更正の請求に関する判決がありました。事案の概要は以下のとおりです。詳細に説明すると複雑であるため、一部事実関係については省略しています。株価の争点は、株式保有特定会社に該当するか否かでした。

H16. 2.28 被相続人死亡
H16.12.27 未分割の相続税申告書提出(株価11,185円)
H19. 2.13 非上場株式の評価誤りに基づく増額更正処分(株価19,002円)
H25. 2.28 東京高裁で非上場株式の評価について国敗訴の判決。
      上告はなく判決確定(株価4,653円)
      H19の更正処分取り消し
H25.5   国税庁、株式保有特定会社に関する通達変更
H26. 1.16 遺産分割の調停が成立
H26. 2.21 取得財産が減った相続人から更正の請求。左記内容を減額更正処分(H26.6.20)。
H26. 5.16 別の相続人から相続税法32条1号の規定による更正の請求(株価4,653円)
H26.11.12 株式の価額の減額に関する部分は更正すべき理由がない旨を税務署が通知。さらに、法定相続分より取得財産が増えたため、相続税法35条3項1号の規定による増額更正処分(株価11,185円)

本件は、平成26年の増額更正処分について、当初申告の株価(11,185円)を用いて税額の計算をした更正処分の適法性が争われました。
補足説明をしますと、平成24年の東京高裁の判決で適正な株価は4,653円と判断され、平成19年の更正処分は取り消されましたが、当初申告株価が適正な株価を上回っていた部分については更正の請求の期限を渡過(当時は法定申告期限から1年)していたため減額されませんでした。
一審、二審では、本件株価評価における平成24年判決の判断に行政事件訴訟法33条1項所定の拘束力が生じるため、税務当局が更正の請求に対する処分や更正をするに当たっては4,653円の株価を基礎として税額を計算しなければならないとして、国敗訴の判決を出しました。
しかしながら、最高裁は以下のように判断しました。相続税法32条1号の規定による更正の請求においては,後発的事由以外の事由を主張することはできないのであるから,一旦確定していた相続税額の算定基礎となった個々の財産の価額に係る評価の誤りを当該請求の理由とすることはできず、課税庁も、国税通則法所定の更正の除斥期間が経過した後は、当該請求に対する処分において上記の評価の誤りを是正することはできない拘束力によっても、行政庁が法令上の根拠を欠く行動を義務付けられるものではないから、その義務の内容は、当該行政庁がそれを行う法令上の権限があるものに限られる、として平成26年の更正処分は適法と判断しました。

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