相続した不要な土地を処分する方法

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過疎地など利便性の悪い土地を相続で取得した方から、その土地を売りに出しても買い手がなく処分ができずに困っている、という話をよく聞きます。
不動産市場では、不動産の価格が上がる地域、下がる地域、価格がない地域という言葉も聞かれます。価格がない地域とは、どれだけ価格を下げても不動産の売却ができない地域ということです。過疎地の山林や農地などが典型的な例ですが、古くに造成された利便性の悪い別荘地や住宅団地、農家集落等の既成住宅地なども該当する場合が多くあります。
そこで「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が令和3年4月28日に公布されました。なお、法の施行日は公布から2年以内とされていますが、今のところ施行はされていません。
内容としては、相続又は遺贈により土地を取得した相続人が、一定の負担金を納めることで、その土地の所有権を国に帰属させることができるというものです。「お金を払ってまで土地を手放す?」と考えられる方もおられるでしょうが、土地を持て余していて、この負担感を子供や孫の代まで引き継がせたくない、と考えられる方は予想外に多くおられます。
手放すことができる土地は、相続人が相続又は遺贈により取得した土地です。但し、土地が共有の場合は、共有者が相続等により取得していなくても、相続人と一緒になら手続きが可能です。共有の土地の手続きには、共有者全員の同意が必要です。
負担金は10年間の土地管理費相当額です。政令がまだ定まっていませんので計算の詳細は不明ですが、実際の手続先である法務省の資料によると、疎放的な管理で足りる原野の場合で約20万円、市街地の宅地(200㎡)で約80万円と記載されています。
土地の国に対しての帰属の承認申請は次のいずれかに該当すると行うことができません。

① 建物がある
② 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている
③ 通路等として他人が使用する土地が含まれる
④ 土壌汚染がある
⑤ 境界が明らかでない場合や所有権の帰属等について争いがある

また、承認申請が出された場合、次のいずれにも該当しない場合は、法務省は国庫への帰属の承認をしないといけないとされています。

① 崖がある土地で通常の管理に過分な費用等が必要
② 通常の管理等を阻害する工作物、車両、樹木等が地上にある
③ 除去しなければ通常の管理又は処分ができない有体物が地下にある
④ 隣接する土地の所有者等と争訟によらなければ通常の管理等ができない

境界についてどの程度のものを要求されるかは明らかではありませんが、その点を除けば、更地ならかなりの土地が承認申請の対象になると考えられます。国庫帰属のためには市街地の宅地で約80万円の負担金が必要で、更に建物や工作物があれば、その取り壊し費用も必要となり決して簡単にできるものではありません。しかし、将来の負担を子孫に引き継がせたくないなら一考の価値があるのではないでしょうか。

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