会計人のためのExcel活用術(40)

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<会計データの編集で押さえておきたい計画シミュレーション(CF②)>
前回は、Excelを使ったCF計画づくりについてみました。
今回はCF計画の図解について見ていきます。

<CF計画の図解>
PLやBSと同じようにCF計画表も図解します。
Excelだと作った計画表をそのまま図に展開できるので、これを使いわない手はありません。
CF計画表の場合、何を図解するかですが、一番簡単なのは、営業CF・投資CF・財務CFをそれぞれ単純に棒グラフで図示することです。
簡単なグラフですが、それだけでも断然わかりやすくなります。
計画されている投資の大きさ(投資CF)やそのために確保すべき営業CFや調達額(財務CF)が視覚化されるため、数字だけの場合に比べてイメージがしやすくなります。

このようなCF計画表が出来たとして、この中の営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、キャッシュ増加の金額をピックアップして、これらの値を参照する形でグラフ作成用の表を別途作ります。

これを棒グラフにします。

たとえば、この例でいうと
「当期は100,000千円の投資を行いますが、営業CFの範囲内の投資になります。追加の借入は必要ない見込みです」
という説明をしたときに、
営業CFと投資額、調達(あるいは返済)の見込が視覚化されますので、同じ説明をしたとしても数値だけの場合に比べて頭に入ってきやすくなります。

表を使わずにグラフだけで説明する場合には、グラフ上に値(ラベル)を表記してしまってもよいと思います。

単純に棒グラフを並べただけでも、分かりやすさが断然違ってきます。
手間もかかりませんので、ぜひ計画表とあわせてグラフも作っておくようにしましょう。

<運転資金の図解>
CF計画の全体イメージを示したら、営業CFの中で重要な検証項目についてもグラフ化してみます。
前回、CF計画の数値を次の5つの項目から検証することを見ました。


このうち、④設備投資額と⑤資金調達返済額は全体像でイメージ化したので、その他の営業CFの項目について考えます。
利益部分と税金部分はPL計画の方でもグラフ化されているので、ここでは②運転資金の増減についてグラフ化してみます。
これも凝ったグラフでなくても、単純に棒グラフにするだけで全然違います。
先ほどと同じように売上債権の増減・棚卸資産の増減・仕入債務の増減の金額だけをピックアップして、次のようなグラフ作成用の表を作ります。


これを単純に棒グラフにして、運転資金の増減額(売上債権の増減+棚卸資産の増減▲仕入債務の増減)のところだけ濃い色で強調するようにしておきます。

棒グラフだけでも、その増減が視覚化されるので、今後の運転資金の推移予定がイメージとして捉えやすくなります。
運転資金の増減だけを棒グラフにする方法もありますが、一緒に売上債権の増減、棚卸資産の増減、仕入債務の増減もグラフにしてあげると、どの増減の影響で運転資金が増えているのか、あるいは減っているのかも一緒に視覚化することが出来ます。
数字だけだとなかなかイメージしにくいですが、棒グラフにすると影響の大きさが視覚化されます。あまりにも運転資金増によるキャッシュの減少が大きければ、計画数字を調整するといったこともありえます。
運転資金は特に数字だけだと説明がわかりにくい部分で、経理部門以外の人にとってはイメージしにくい動きになるので、棒グラフにするだけでも意味があります。
全体像とあわせて、運転資金の増減も視覚化しておきましょう。
CF計算書は数字を見るのに少し慣れが必要な資料です。
ですから、おおまかな数字だけでも視覚化されていれば、説明される側の負担が軽減されます。
まずは全体像をグラフ化して、主なキャッシュフローをイメージ化してあげましょう。
その上で、営業CFの中でも特にわかりにくい運転資金によるキャッシュフローへの影響額も同じようにグラフ化して、大きさを認識してもらえるように提示しましょう。

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