雑種地は賃貸人と賃借人で評価方法が異なる?

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 宅地は、底地も借地権も更地の評価額に底地割合、又は借地権割合を乗じて求めます。元となる宅地の評価額は、賃貸人、賃借人のどちらかが宅地に造成していたとしても同じです。しかし、賃貸している雑種地の評価額は賃貸人、賃借人いずれが造成したかによって異なる場合があります
 賃貸人(土地の所有者)が造成して貸している場合は、宅地と同じで元となる更地の雑種地の評価額は同じです。造成後の雑種地の評価額を求め、賃貸期間及び地上権に準ずるか否かによって規定されている賃借権の割合に応じて、「雑種地の賃借権の価額」又は「賃借権の目的となっている雑種地の価額」を求めます。
 雑種地の賃貸借では、賃借人が造成しているケースが多くみられます。この場合、賃借人の「雑種地の賃借権の価額」は、造成後の雑種地を元に賃借権割合を乗じて求めます。しかし、賃貸人の「賃借権の目的となっている雑種地の価額」では、造成による価格上昇分は評価額に加味されません
 財産評価基本通達86の注意書きに以下の規定があります。

 賃借人又は地上権者がその雑種地の造成を行っている場合には、その造成が行われていないものとして82≪雑種地の評価≫の定めにより評価した価額から、その価額を基として87≪賃借権の評価≫の定めに準じて評価したその賃借権の価額又は相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫若しくは地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫の規定により評価した地上権の価額を控除した金額によって評価する。

 丘陵地の市街化区域以外にあるゴルフ場の評価を例に説明します。ゴルフ場内には借地も多くありますが、造成は基本的には賃借人であるゴルフ場等が行っています。
 ゴルフ場の固定資産税評価は、一般的には素地である山林の評価額に㎡当たりの造成費(丘陵コースで900円/㎡程度)を加算した金額の70%で計算されています。その固定資産税評価額にゴルフ場ごとに決められている倍率を乗じると相続税等のゴルフ場の評価額を求めることができます。
 賃借人のゴルフ場の賃借権の価額は、上記により求めた評価額に賃借権割合を乗じて求めます。しかし、ゴルフ場の素地(通常は山林)を貸した賃貸人の評価額は異なります。前述したように賃借人が造成を行っている場合は、その造成が行われていないものとして求めた雑種地の評価額から賃借権割合を控除して評価額を求めるためです。雑種地の評価額は、状況類似の近傍地の地目の評価額から求めるため、山林を切り開いて開発したゴルフ場については、近傍地の評価は原則として山林評価となります。このため、具体的な評価方法としては、近傍山林の㎡当たりの固定資産税評価額に地積を乗じ、それに山林の倍率を乗じたものを求め、そこから賃借権割合を減額して求めることとなります。
 なお、市街化調整区域等であったとしても、近傍が開発され宅地化している場合には、雑種地の比準地目は宅地となります。このような場合には近傍宅地から雑種地の評価額を求め、そこから宅地造成費を控除し、更に賃借権割合を控除して求めます。

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