会計人のためのExcel活用術(38)

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 前回は、Excelを使ったBS計画づくりについてみました。
 今回は引き続きBS計画の図解について見ていきます。

<BS計画の図解>
  Exclで計画を作成する大きな利点の1つは、作った計画表をそのまま図に展開できるところです。特にBSは数字だけだとイメージしづらいので、図があると成長をイメージしやすくなります。

 前回みたように、運転資金や設備投資の見込数値をパラメータ化して、このような3期のBS計画表を作成したとします。

1.BS全体像の図解

 まずは、BS全体を図解します。具体的な作成の仕方については、「会計人のためのExcel活用術(31)」で紹介したBSのビジュアル化と同じですので、詳しいオペレーション方法はここでは説明しませんが、計画表の数値を参照する形で、次のような図解用のセル範囲を用意した上で、これを「積み上げ縦棒」を使ってグラフ化します。
 積み上げたときに、表の上から下方向に積み上がる形になるため、わざと勘定科目の並び順を通常とは逆にしています。(この項目の表示位置は、グラフにした後からでも変えることもできます。詳細は「会計人のためのExcel活用術(31)」参照)

 まずはBS全体を図解することで、計画通りに推移した場合の純資産や総資産の成長イメージを視覚化します。
 数字だけだと、どんなに詳しく説明しても成長イメージが湧きにくいので、まずは全体像を図で示した上で、細かいところだけ数字で説明した方が伝わりやすくなります。

2.目標値に関連するBS科目の図解

 BS計画の全体の成長イメージを示したら、次に目標設定した値に関するBS科目も図解します。
 計画を作成する際には、「3年後に~の比率を~%以上にする」とか「~の科目の残高を~以下(以上)にする」などの目標値の設定も行うと思います。
 その目標値に関連する科目の推移見込もグラフにしておくと、目標をイメージしやすくなります(理解してもらいやすくなります)。
 例えば、自己資本比率と借入金残高についての目標値を設定した場合で考えてみます。

2-1.自己資本比率の推移グラフ

この時、自己資本比率は率だけをグラフにしてもよいのですが、純資産額も一緒に棒グラフで示すと、成長がよりイメージしやすくなります。

 グラフの作り方としては「組み合わせグラフ」を使います。
 下記のような表を作って、これをグラフ化します。

 これであれば、Excelのグラフ挿入で「複合グラフの挿入」というのが選べるので、その中の「集合縦棒-第2軸の折れ線」というのを選ぶのが一番早いです。
 ただ、それを使わなくても、とりあえず、両方とも棒グラフ(または折れ線グラフ)で作成したあとに「グラフの種類の変更」でグラフの種類と第2軸とを変更することも出来ますので、どちらの方法でもそんなに手間はかかりません。

 いずれにしろ、計画値に関しては、徐々に成長していく数値で作ることが多いと思いますので、それをより強調させるようなグラフを意識するとよいでしょう。

2-2.借入残高の推移グラフ

 これも自己資本比率と同じように、より強調できそうな他の値を対比させてグラフ化してみます。有利子負債比率などの比率と一緒にグラフ化するのもアリですが、借入金の場合は、現預金残高と一緒にグラフにしてみるのもおススメです。
 「借入残高を減らしながら、現預金残高の方を増やしていく」というイメージが伝わりやすくなります。

どの項目と対比させるのがよいか、に特に決まりはありませんので、どういう説明をしようとしているのか、に合わせるとよいと思います。
 たとえば、「借入金の返済を進め、3年後に現預金残高を~まで増やす計画です」という説明をしようとしているなら、現預金残高と対比させるのがよいですし、「借入金の返済を進め、債務償還年数を~年以内にする」という説明なら、債務償還年数の推移と対比させる方がよいと思います。
 より説明の意図が伝わりやすくなる項目を選ぶとよいでしょう。

次回は、CF計画のところを見ていきます。
CFもBSと同じく、会社の中では経理くらいしか見ていないところになります。
会計事務所としてCF計画上でどのようなサポートが出来るかを見ていきましょう。

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