契約期間の短い貸し付けられている雑種地の評価

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 貸し付けられている雑種地の評価(地上権が設定されている場合を除く、以下同じ)は、「地上権に準ずる権利として評価することが相当な場合」と「それ以外」に分けられます。「地上権に準ずる権利として評価することが相当な場合」には、賃借権の登記がされているもの、設定の対価として権利金その他の一時金の授受のあるもの、堅固な構築物の所有を目的とするものなどが該当します。

 減額割合は残存契約期間に応じて決められ、「地上権に準ずる権利として評価することが相当な場合」、

・残存期間が5年以下のもの:100分の5
・残存期間5年を超10年以下のもの:100分の10
・残存期間が10年を超え15年以下のもの:100分の15
・残存期間が15年を超えるもの:100分の20

となっています。
 「それ以外」の場合は、上記割合の1/2が減額割合となります。
 ところで、雑種地が貸し付けられている場合、契約期間が5年程度と短く設定されているものの、恒久的な施設の敷地の用に供されており、過去から契約は自動更新され継続的に貸し付けられていることが多くあります。このような場合でも、残存契約期間が5年以下であれば、減額割合は100分の5(地上権に準ずる権利以外の場合は100分の2.5)となるのでしょうか。

 国税庁の質疑応答事例「雑種地の賃借権の評価」に以下の記述があります。
 「その契約上の残存期間がその賃借権の目的となっている雑種地の上に存する構築物等の残存耐用年数、過去の契約更新の状況等からみて契約が更新されることが明らかであると認められる場合には、その契約上の残存期間に更新によって延長されると見込まれる期間を加算した期間をもってその貸借権の残存期間とします。」
 このため、単純に残存契約期間で減額割合を判断しては、評価額を高く算定してしまう場合もあるのです。

 平成4年4月31日の裁決でも以下のように判断されています。

 賃借権の存続期間については、原則として当事者の定めた賃貸借契約に基づく賃貸借期間によるが、
①本件賃貸借契約は昭和36年2月に契約され、当事者のいずれからも契約解除の申出のない場合には自動的に賃貸借期間を更新することとされ、これに従って過去30年近くにわたって契約が継続されてきたこと、
②本件土地は、県公安委員会指定の自動車教習所のコースの敷地としてコンクリート舗装され、コースのほぼ中央に位置し、その利用価値は極めて高いと認められることから、契約上の賃貸借期間は3年であるが、将来にわたり更新されることが予想され、長期間にわたるものと認められるので、本件賃借権は事実上残存期間の定めのないものと認められるのが相当である。

 結果として、賃貸借期間は3年ですが、地上権の評価規定を準用し、残存期間の定めのないものの場合の割合100分の40の2分の1に相当する割合100分の20を減額割合とされています。

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