会計人のためのExcel活用術(31)

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 今回から、Excelを使った報告資料の図解(ビジュアル化)について見ていきます。
どの会社でも試算表など会計システムから作成される資料をつかって、報告業務を行っていると思います。
 基本的には、それらの数値資料を図解する方法をみていきます。
 今までにない資料を新たに作り出すという話ではなく、いままでの資料にプラスα、それを図解化した資料も一緒につけてあげるという話になります。
 というのも、会計データにはもともと、それ自体に価値があるので、あまり手の込んだ加工は必要ないからです。
 会社の成績結果ですので、その数値に価値があるのは当然ですし、それゆえ、会社のみんなが興味を持っている数値になります。
 ただし、簿記や会計に慣れていない人にとっては、とてつもなく「わかりにくい」という特徴があります。
 特に数値だけの資料だと、ポイントがつかめず、せっかくの価値が伝わりにくいという特徴があります。
 その特徴を逆に利用するのが、今回から見ていく会計データの図解(ビジュアル化)です。
行うことはいたって単純で、いまある数値資料にプラス、図解資料をつけるだけです。
説明の仕方も基本的には今まで通りでよいと思います。
でも、それだけなのに、数値だけの資料で説明していたときと比べて「前よりもわかりやすくなった」と言われることが多くなると思います。
 会計に慣れてしまっている我々にとっては、図解したところで、大して変わらないように思えますが(単に図解しただけでしょ、という程度ですが)、慣れていない人にとっては、受ける印象とわかりやすさが全然違ってくるようです。
 ですから、手間もそんなにかからず、評価ポイントを上げやすいところなので、ぜひ会計データの図解(ビジュアル化)をマスターしていきましょう。

◆バランスシート(試算表のBS部分)のビジュアル化

 最初に見ていくのはBSです。
 BSは、特にわかりにくいと言われがちな資料だからです。

 会計ソフトから、次のような試算表(BS)データをエクセルにダウンロードしてきます。
期首BSと当月末BSとを比較するので、1か月分の試算表ではなく、期首からの累計の試算表を使います。
 この表の「前期繰越(期首)残高」と「当期(当月末)残高」を使って、期首と当月末のBSの図を作成します。

 まず、試算表のシート(Sheet1)とは別に図解用のシートを1つ作成します。

 図解用のシートを別に作るのは、試算表の勘定科目別だと少し細かすぎるので、「現預金」「固定資産」といった粒度で図にしたいためです。
 新たなシート上に図解用の表を作成し、その表をグラフ化します。

 このとき、図解用の表では、数値を直接持つのではなく、必ず、試算表シート(Sheet1)の値を「参照」するようにします。
 値を直接持ってしまうと、毎回(毎月)値を手作業で更新する作業が発生してしまいますが、「参照」する形にしておけば、試算表シートの値を更新(最新の状態に貼り付け直し)すれば、連動して図解用のシートも更新されるからです。
 図解用の表の値が更新されれば、その値を参照しているグラフの形も自動的に変形されるようになっています。

 次に、図解用の表を選択して「挿入」→「2-D縦棒」で「積み上げ棒グラフ」を選択します。

 そうすると、下記のような横向きに積み上げられた棒グラフが作られます。
 グラフ機能の亜流の使い方になりますので、最初からは思った形に自動生成してくれませんので、これを縦向きの積み上げ棒グラフに形を整えていく作業が必要になります。

 グラフのどこでもいいので、選択して、右クリック→「データの選択」を選びます。

 ポップアップ画面で、「行/列の切り替え」ボタンを押して、グラフの向きを変えます。

 グラフ間の間隔をゼロにして、借方と貸方をつなげて、BSの形を表現します。
表のほうで期首と当月末との間に1列(D列)空けていたのは、このためです。

 ただし、この時点で出来上がるグラフは、まだ正しいBSの形にはなっていません。
 図上では、科目の向きが表とは逆向きになっているので、表示位置を調整していく必要があります。

 あとは、好きにアレンジして構わないのですが、例えば、グラフタイトルと下に表示されている科目名(凡例)は非表示にして、科目名と金額をグラフ中に表示させるようにします。
 グラフを選択して「グラフツール」→「デザイン」の中の「グラフ要素を追加」→「グラフタイトル」→「なし」を選べば一番上の「グラフタイトル」の表示が消えます。同じように、「凡例」を選んで「なし」を選択すると、凡例も非表示にできます。

 消した凡例(科目名)については、数値と合わせて、グラフ上に表記させます。
 ここが面倒なのですが、グラフ要素を1つずつについて、「データラベルの追加」と「系列名」の表示設定をしていきます。


 これで、図としては完成なのですが、ただし、この図だと「少し見にくい」という印象を持たれるのではないでしょうか?
  Excelが自動で色付けしてくれるのですが、あまり色が多いとわかりにくくなります。
そこで、説明に使う図という目的を考えて、あえて、色をそぎ落としていきます。手順としては、グラフ要素を1つずつ選んで、右クリック→「塗りつぶし」や「枠線」で各科目の色をなくしていきます。

 色を落としてシンプルにしておくと、逆に、説明で最も強調したいところに色を付けることも有効となります。
 たとえば、「売掛の回収遅れが多くなっている」ことを強調したいときに、売上債権のところだけを色づけしたり、「在庫が増えている」場合は、棚卸資産に色付けしたりといった感じです。

 月次では、そんなに変化もないと思いますので、色付けするのは大きな動き(借入等)があったときや、4半期毎・半期毎のタイミングなどでよいと思います。
 変化の大きかった科目については、これまでも強調して説明していたと思いますので、今度からは数値の説明とあわせて、色付けした図も一緒に示してあげると、印象に残りやすくなり、もっとわかりやすくなります。

 やや手順が多くて面倒に感じるかと思いますが、最初に一度作ってしまえば、次からは、試算表シートの値を更新していくだけで、値に応じて図が自動的に変形していってくれます。値を参照する作りにしておけば、図を毎回作り変える必要はありません。
 あとは数か月毎に変化の大きなところ(通常は数値資料でも説明するポイント)に色付けして、メリハリをつけてあげれば、説明の印象がグッと良くなります。
 かける労力に見合ったリターンは得られると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。
次回は、PL資料のビジュアル化について見ていく予定です。

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