今回は「ピボットテーブル」使った現状調査の3つ目として、従業員の立替経費精算について見ていきます。
支払処理と同様、従業員立替経費精算についても、本来は月1回など、作業日を集約してしまったほうが経理の生産性は上がります。
ただ、従業員の立替金額のことを考えて、毎週あるいは、その都度精算を行っているという会社も結構あります。
精算回数の集約を検討する場合にも「ピボットテーブル」が使えます。
現状、毎週精算している人がどの位いるのか、あるいは1か月の立替金額、1回当たりの立替金額は大体どれくらいなのかを既存のデータから調べることができますので、実態を数字で把握した上で、月何回くらいにまとめられそうかを検討できます。
まず、未払金や未払経費など、立替金の精算で使っている科目の元帳をExcelにダウンロードしてきます。
経費精算システムを使っている場合は、経費精算システムのデータでも構いません。
「精算日」と「金額」、「精算者」の3つが取得できるデータであれば何でも結構です。
元データさえあれば、あとはピボットテーブルが集計してくれます。
ここでは、たとえば毎週1回(月に4~5回)精算を行っている会社で、「未払経費」という勘定科目を使って、補助科目を人別に分けて管理している、というケースで考えてみます。
「未払経費」の元帳データをExcelにダウンロードしてきて、これをピボットテーブルに読み込ませます。
まず、精算日別、人別の立替金額について調べます。
右側の「ピボットテーブルのフィールド」にて、「補助科目」(人名)を「行」の欄に持っていき、「伝票日付」を「列」の欄に持っていきます。
前回、支払時の金額がわかればよいので、「フィルタ」の欄に「相手勘定科目」を持っていき、相手科目として現預金科目(現金、普通預金など)だけを選択するようにします。
「値」の欄には「借方金額」を持っていき、金額集計(ピボットテーブルが自動計算)を取るようにします。
そうすると、人別・日別(月別)の立替金額の現状が一覧表になってきます。
一覧表から、各人の月別、あるいは日別の立替金額の現状を把握します。
人数が多い場合は、COUNTIFS関数を使って、各人の月間の立替金額を次のような円グラフにして、全体の割合で把握するもの有効です。
<次のように金額レンジを区切ってCOUNTIFSで集計>
●0円~1万円以下 → COUNTIFS(セル範囲,”>=0″,セル範囲,”<=10000″)
●1万円超2万円以下 → COUNTIFS(セル範囲,”>10000″,セル範囲,”<=20000″)
これらの表やグラフから、金額的に月1回にまとめても大丈夫そうかを検討します。
次に、各人が月に何回くらい精算しているのか「件数」のほうも調べてみます。
毎回精算している人もいれば、月1回しか精算していない人など様々だと思いますが、その現状を調査します。
同じ表で「値」の集計の仕方を「合計」から「個数」に切り替えるだけで、金額の集計表が件数の集計表に切り替わってくれます。
そうすると、先ほどの表の値が、月別の合計金額から件数に切り替わってくれます。
同じように、人数が多い場合や全体像を見たい場合には、グラフにするとわかりやすくなります。
現状を、立替金額と精算回数の両面から把握し、精算回数を月1回に集約できないか検討してみましょう。
毎週精算日がある会社でも、現状を調べてみると、月1回に集約してしまっても、ほとんどの人は問題なさそうだとわかることが多いです。
もちろん、一部の立替金額の大きな人には別途対応(仮払金など)が必要ですが、大部分の人は立替金額も大きくなく、そもそも毎週立替精算をしているよう人は少ないことがわかります。
イメージだけで「月1回に集約するのは難しそう」とか議論するのではなく、まず、ピボットテーブルを使って簡単に現状を調べてみましょう。
実際の金額と数字を見ながら、具体的なアクションにつなげていきましょう。
会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>