今回から「ピボットテーブル」について見ていきたいと思います。
Excelには「ピボットテーブル」というデータ分析ツールが標準で搭載されています。
大量の原データ(集計していない明細単位のデータ)を「ピボットテーブル」に読み込ませることで、いろんな切り口から自由に集計やグラフ作成を行うことができます。
販売管理などのデータ分析に使われることが多いです。
何万件もの原データを「ピボットテーブル」に読み込ませて、月別・担当部門別・担当者別・商品別・得意先別など、いろんな角度から販売金額を集計分析するといった使い方です。
使い方は、読み込ませたいシートを開いて、メニューの「挿入」の中に「ピボットテーブル」という項目があるので、これをクリックします。
そうすると、表範囲をエクセルが判断してくれますので、そのまま「OK」を押すと、新しいシートに「ピボットテーブル」が作成されます。
基本的には、Excelが自動的にテーブル範囲を判定してくれますが、項目名が空欄だったり、空の列が挟まっている場合には正しく判定されないので、そのときは項目名を埋めたり、空の列を削除するといった加工が必要になります。
(1行目を項目名の行と認識してくれるようになっていますので、空欄が入っているとうまく認識してくれません)
<空欄や空の列がある場合は、空の列を削除するなど加工が必要>
テーブル範囲がうまく認識されると、次のような「ピボットテーブル」を編集するための新しいシートが作成されます。
シートの右側に「ピボットテーブルのフィールド」リストが現れます。
ここで項目をドラッグ&ドロップで、列や行の欄に追加したり、入れ替えることで、縦・横いろんな項目の組み合わせで分析できるようになっています。
たとえば、「担当部門」を「行」に、「日付」を「列」へ、「値」には「販売額」をドラッグ&ドロップすると、次のような部門別日付別の販売額集計表が自動で作成されます。
「ピボットテーブルのフィールド」にて、項目名を縦・横、入れ替えるだけで、テーブル内容は自動で判定して、切り替えてくれます。
たとえば、上記で「担当部門」を「列」に、「日付」を「行」に入れ替えれば、テーブルの行と列項目を簡単に変更することが出来ます。
値の集計もピボットテーブルが計算してくれるので、あとは集計したい項目をドラッグ&ドロップして、縦、横いろんな項目の組み合わせでの集計値を検証することができます。
なんで、会計データにその機能が活用できるのか?
上記でみたように販売管理データの分析には非常に使えるツールですが、会計データにもこれが同じように使えるかというと、「あえて使う必要もないかな」というのが最初の印象でした。
なぜなら、そもそも集計したい単位(勘定科目別)に金額を集計したのが会計データであり、部門を分けて入力してあれば部門別の集計も可能です。
得意先別に見たい売掛金などは、通常「補助科目」を設定してその単位で残高を見られるようにしていますし、そのほかにも、勘定科目より細かい単位で残高管理したい科目は、補助科目を設定しているのが普通です。
つまり、既に見たい単位に金額集計はされているので、それをさらに別の切り口で集計するニーズはあまりないと言えます。
報告用資料の加工(レイアウト変更など)には利用できるかもしれませんが、そのニーズもなければ、そんなに使う場面はないかなと思っていました。
しかし、通常の会計業務にプラスして、経理業務の改善提案を行う場合には、この「ピボットテーブル」が非常に役立ちます。
会計では取得しづらい「件数」や「月より細かい単位での集計」を、「ピボットテーブル」であれば、簡単に集計してくれるからです。
「件数」については、たとえば、五・十(ごとう)日がすべて支払日になっているという会社があったとします(実際、結構あります)。
そうした会社に支払日の集約を提案しようとした場合に、実際、何日にどれ位の支払件数があるのか、支払日別の件数を集計することがピボットテーブルを使うと簡単にできます。
もちろん、会計ソフトでも集計しようと思えば出来るとは思いますが、手間をかけてまであえてやる気にはならないと思います。
でも、ピボットテーブルであれば、データを流し込むだけで、金額でも件数でも、クリック操作だけで面倒な集計は全部やってくれます。
支払件数に限らず、入金の件数や、仕訳件数なども月別、あるいは日別でも「ピボットテーブル」で簡単に集計することができます。
つまり、通常の「ピボットテーブル」の使い方(いろんな角度からの分析)というよりも、経理業務の改善を検討する際の、元帳データなどの大量データ分析にかなり有効です。
時間をかけてまで、経理の現状分析している暇はありませんが、「ピボットテーブル」を使えば、既に手元にあるデータを使って、手間をかけずに現状把握することができます。
具体的に、どんな現状分析をするのかについては、次回以降でみていきましょう。
「ピボットテーブル」の活用例として、小口現金の実態調査、支払日の分散状況、経費精算の立替額や件数調査について見ていく予定です。
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<清文社>
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