会計人のためのExcel活用術(26)

会計データの編集で押さえておきたいExcelのグラフ機能(BS分析2)

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 前回に引き続き、

(1)安全性を検証する

 BSの下側はバランスシートの土台です。
 土台の盤石さ、つまり財務体質の安全性を見るのに適しています。

 チェックする代表的な指標としては、自己資本比率(純資産÷総資産)や固定比率(固定資産÷純資産)といったものがあります。
 儲け(利益)が出ていたとしても、財務バランスに異常が出ていないかを確認します。
 過剰な投資になっていないか、利益に対して固定資産や総資産の割合が大きくなり過ぎていないかを検証します。

 数値は、折れ線グラフを使って、全体的な推移から、おかしな変動がないかを視覚的に把握します。
 たとえば、自己資本比率と固定比率を見る場合で考えてみます。ともに、そんなに頻繁に変化する指標ではないので、毎月見る必要はありません。
 四半期毎や半期毎の平均で推移を見れば十分だと思います。
いま四半期毎(3ヶ月ごと)の推移を確認するケースで見てみましょう。
 残高推移表から総資産、固定資産、純資産の毎月の残高を持ってきて、下記のように四半期(3か月)ごとの平均値をとります。

 次に、3か月平均を別の表にまとめて、四半期ごとの自己資本比率(純資産÷総資産)と固定比率(固定資産÷純資産)を算出します。

 これを折れ線グラフにして、異常値になっていないか(安全性を棄損していないか)を検証するようにします(挿入→折れ線を選択)。

 これでいくと、総資産や固定資産が急激に増えているわけでもなく、安定的に利益が伸びている形なので、適正な伸びと判断することができます。

 もちろん、これだけでもよいのですが、過去の実績値や業界平均値などを基準値として、この基準値と比較して、大きく離れていないかをグラフで確認すると、さらに分かりやすくなります。
 たとえば、自己資本比率を27%以上、固定比率は150%前後くらいを基準値として持っていたとします。それぞれ27%と150%の線(直線)も折れ線グラフに追加してあげます。

推移をグラフで追っていれば、異常値にすぐに気づくことができます。
基準値から離れた大きな変動があったときには、その原因を確認するようにします。
グラフであれば、どれくらいの変動なのかがよく見えます。
このように安全性の指標をグラフ化して、異常を検知できるようにしておきましょう。

(2)借入とのバランスを検証する

 総資産や固定資産と純資産のバランスとあわせて、BSの右側(貸方)の純資産と借入金のバランスについて同じように検証しておきます。
 純資産に対して借入への依存度が大きくなり過ぎていないかのチェックです。
 先ほどと同じように残高推移表から借入金(短期・長期・社債)の合計額、純資産の毎月の残高を持ってきて、下記のように四半期(3か月)ごとの平均値をとります。

 3か月平均を別の表にまとめて、借入金と純資産の比率(有利子負債比率=借入金÷純資産)を算出します。

先ほどと同じように、実績の推移だけでなく、基準値も一緒にグラフに表示してあげます。いま、基準値として、150%を目安にとして設定していたとすると、表に基準値の行も作って、あわせて折れ線グラフにします。

 儲けが出ていても、無理が生じていると、財務バランスが悪くなります。
 資産が膨れていないか、借入金が多くなり過ぎていないか、定期的にBSの下側で歪みをチェックするようにしておきましょう。

 今回まで数回にわたって、会計データのグラフによる分析を見てきました。
「儲かっているか?」、「おカネは足りているか?」、「何か異常がないか?」の3つの視点の検証として、いくつかの例を示してきました。
 もちろん、紹介したものは一例で、どの値や率をグラフ化するのかは、いろんなパターンが考えられます。
 ただ、会計データの分析では、この3つの「?」に応答できるようにすることは変わりませんので、ぜひ、いろんなパターンをグラフ化して、より多くの気づきを得るようにしましょう。
 グラフについては、ひとまず今回までとして、次回からはピボットテーブルの機能について見ていきたいと思います。

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