所得税法基本通達59-6の改正の影響

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 非上場株式の譲渡をめぐる令和2年3月24日の最高裁判決を受けて、国税庁は令和2年8月28日に所得税法基本通達59-6について改正を行い、令和2年9月30日付の資産課税課情報第22号でその趣旨説明を行いました。

 国税庁は通達の表現を見直しただけで従来と取り扱いを変更したのではないとしていますが、その趣旨説明の中に従来一般的に用いられていた方法と違う取扱いが2点記載されており、実務への影響が大きいと思われます。

 まず、通達の変更点ですが、裁判で最も争点となった「中心的な同族株主」に該当するか否かの判定は、『当該株式を譲渡又は贈与した個人が当該譲渡又は贈与直前に(中略)「中心的な同族株主」に該当するとき』と明記されました。
これについては、裁判上は争点となりましたが、多くの税理士が従来からそのように取り扱っていたと思われます。

 問題となるのは次の2点です。

 

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 本通達の適用がある場合、株式の譲渡等の対象となる会社(以下、評価会社という)の株価算出に当たっては、小会社として評価し、「類似業種比準価額」と「純資産価額」の斟酌割合(いわゆるLの割合)は小会社の「0.5」を採用します。しかし、「類似業種比準価額」を算出する計算において類似業種の株価等に乗ずる斟酌割合は、小会社の「0.5」ではなく、実際の評価会社の規模に応じて、大会社なら「0.7」、中会社なら「0.6」を採用すると趣旨説明に記載されているのです。

 従来までの一般的な非上場株式の評価についての書籍においては、この割合についても小会社の「0.5」を採用するとしたものが多く、また、非上場株式の算出の会計ソフトでも「0.5」を採用しているものが多いと思われます。このため、評価会社が大会社や中会社であるにもかかわらず、小会社の「0.5」を採用して類似業種比準価額を計算してしまうと株価が低く算出されることとなり注意が必要です。

 次に評価会社が子会社株式を保有している場合は、その子会社株式についても時価評価を行う必要があると記載されています。

 評価会社が有する子会社株式を評価する場合、当該譲渡等の直前に評価を行う会社がその子会社にとって「中心的な同族株主」に該当すれば、その子会社の株式についても59-6(2)の適用を受け、「小会社」に該当するものとして「類似業種比準価額」と「純資産価額」の斟酌割合(いわゆるLの割合)は小会社の「0.5」を採用するとしています。なお、孫会社等がある場合も同様の取り扱いとされます。

 この点については従来から議論のあるところでしたが、子会社や孫会社株式についてまで評価会社が「中心的な同族株主」に該当するか否かを考慮して評価方法の変更を行っておらず、その点について課税当局からの指摘も無かったのではないかと思われます。

 今後は、所得税法基本通達59-6の趣旨説明に評価方法が明記されたことから、これとは異なる方法で評価会社の時価を算定している場合、時価の誤りについて課税当局から指摘があると考えられます。

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