Excelグラフを活用した具体的な会計データの分析例については次回以降で見ていきたいと思います。
今回は、その前提知識、そもそも会計データから何を読み取ればいいのか、何を分析することを期待されているのか、といった基本を押さえます。
(1)会計データの「分析」とは?
「分析」と言っても、会計ではマーケティングや品質管理などとは違い、高度な統計的手法が求められているわけではありません。
会計データという結果の数字から何らかの気づきを読み取ることが期待されています。
いったい何を読み取れるといいのか?
結局、経営者が何を知りたいと思っているのかを押さえておくことがポイントになってきます。
これまで、いろんな経営者の方とお話させていただいてきた中で、皆さん言葉ではいろんなことを言われますが、突き詰めると知りたいことは次3つに集約されてくるようです。
・おカネは足りているか?
・何か異常はないか?
この3点にフォーカスして、会計データという客観的事実から読み取れる解釈をフィードバックしてあげることがポイントになってきます。
何を根拠に「儲かっている」と言えるのか?
何を基準に「おカネが足りている」と言えるのか?
どの数字を見て「異常がない」と言えるのか?
このあたりを、読み解いていくことが、会計データの「分析」の肝となってきます。
(2)Excelグラフを活用する意味
・おカネは足りているか?
・何か異常はないか?
これらを読み取る上で、Excelグラフを活用するのが非常に有効です。
数字だけでは見えなかったことも、グラフにすることで、気づきを得やすくなります。
特に、数字だけだと分かりにくい会計データでは、グラフを使って、その形や大きさを視覚化した方が、変化を掴みやすくなります。
もちろん、Excel以外のツールを使って、グラフを作成することも出来ます。
また、会計ソフトのオプション機能を使ったら、もっと高度なグラフが作れるのかもしれません。
それでもExcelをおススメするのは「操作性」と「カスタマイズ」がしやすいところです。
Excelであれば、日常的に使っているので、使い慣れているでしょうし、基本的な操作で簡単にグラフを作ることが出来ます。
また、説明内容に応じて、注目させたい箇所だけ色を濃くするといったカスタマイズを自在に行うことができます。
会計データの「分析」では、自分なりの解釈をフィードバックする点が重要なので、「カスタマイズ」のしやすさは非常に大きなポイントです。
(3)「分析」の3つの切り口
会計データの「分析」では、主に次の3つの切り口でデータを見ていきます。
・比較
・傾向
「分解」は文字通り、様々な切り口でデータを分ける見方です。
例えば、部門別やプロジェクト別に損益を分けてみたり、一人当たり、あるいは一日あたりといった単位に分けて、分類の仕方をいろいろ変えて中身を探る見方です。
グラフとしては棒グラフや積み上げ棒グラフを使って、部門間の比較や構成割合の推移などを追うことが多いです。
「比較」は、過去との比較や、目標値との比較、あるいは業界の平均値との比較など、ある基準と比較して、「いい」「悪い」を判断する見方です。
会計データの「分析」で最も基本となる切り口です。
グラフとしては、前期実績などの金額の比較は棒グラフや積み上げ棒グラフを、利益率などの比較は折れ線グラフを使って視覚化させることが多いです。
「傾向」は、売上高といった金額や、利益率などの比率を月別に並べて、その推移をみることで、何らかの全体的な変化や特徴を見出す見方です。
傾向をみるときのグラフは折れ線グラフを使うのが一般的です。
多くなります。
これら3つの切り口を組み合わせて、会計データを複数の角度からみて、「儲かっているか?」、「おカネは足りているか?」、「何か異常はないか?」に対する意見とその根拠を見出すようにします。
今回は、具体的な会計データの分析(グラフ化)に入る前の前段として、
・会計データの「分析」では特に、Excelが有効なわけ
・グラフ化する上で押さえておく3つの基本的な切り口
を見てきました。
これらを押さえた上で、次回以降、具体的な会計データを使った分析例(グラフ化)を1つずつ見ていきましょう。
会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>