土地評価で減額漏れが多い事項① 都市計画道路の予定地

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 相続税等申告の土地の評価について、一昔前の税理士の中には、画地補正の減額等一切せず敢えて高く評価し、土地評価以外の間違いを税務署から指摘されたときに、その土地評価の減額を主張するといった、いわゆる土地評価で「保険」を掛けていた申告も多くみられました。さすがに今の時代ではそのような申告もないように思いますが、土地評価においては、正しい評価額に比べ間違って低く評価している申告より、間違って高く評価している申告が多いように感じます。このため、今回から数回にわたり、土地評価で減額が漏れていることが多い事項についてご紹介していきます。

 

まずは都市計画道路の予定地となっている土地の評価です。財産評価基本通達の24-7に規定があり、路線価の地区区分、容積率(基準容積率で判断)、都市計画道路の予定地となっている地積が全体の地積に占める割合に応じて評価減が認められています。
 都市計画道路の予定地に指定されると、将来の立退きが予定されるため、3階建て以上の建物や構造が鉄筋コンクリートなど容易に撤去できない建物の建築が制限されます。このため、本来の土地活用が阻害されるため、路線価の地区区分や容積率に応じて減額が出来る規定となっています。
 なお、都市計画道路の予定地に指定されても、すぐに工事が行われることは稀で、何十年も予定地のままとなっているところが数多くあります。また、一般的には既存の狭い道路を広く拡幅するという計画が多いのですが、全く道路が無いところが予定地となっている場合もあります。このような都市計画道路の予定地に該当するのは、めったにないケースではないかと感じる方もおられるかもしれませんが、数多く評価をやっていれば、年間に数件は該当し、それ程珍しいというものでもありません。このため、評価を行う際は必ず都市計画道路の予定地でないかどうかの確認を行う必要があります。なお、都市計画道路の予定地となっても実際に工事が行われず、その結果有効な土地利用が阻害されているとして、近年、工事見込が立たない路線については、都市計画道路の予定地から外される見直しが行われまいた。このため、昔に比べると該当する場所は減少しています。

 都市計画道路の予定地かどうかを確認する方法としては、自治体の都市計画課など都市計画道路を管轄する部署に出向いて確認するのが確実ですが、時間的な制約もあります。一定規模以上の自治体ではウェブ上でデータを公開していますので、インターネットで都市計画道路の予定地に該当しているかどうかを調べることが可能です。慣れないとウェブサイトが見つけにくいので、管轄している部署に電話し、ウェブサイトに公開しているかどうかを聞くと早いと思います。また、ウェブサイトに詳細な情報を公開していない自治体でも、大まかな都市計画道路の予定地の地図は公開していることが多いので、そちらでまず確認し、可能性があるなら実際に窓口に行くという方法を取るといいでしょう。遠隔地の自治体ではFAXなどでの対応をしてくれるところもあります。今なら新型コロナ感染のリスクを説明すると柔軟に対応してくれる自治体も多くなっています。

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