地下埋設物がある土地は評価減出来るか?

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 更地で土地を購入した者が、その土地に建物を建てようとしたら、地下埋設物があってその撤去に多額の費用がかかった、という話はたまに聞きます。
地下埋設物とは、地面の下に埋まっている昔の建物の基礎、建築廃材や産業廃棄物、タンクなどの地下施設等のことです。
ちなみにこのような場合、その費用については、買主は売主に対して瑕疵担保責任として請求が可能です。
 
 なぜこのようなことが発生するかと言いますと、建物を取り壊して直ぐに新しい建物を建てる場合は、古い建物の基礎や地下の設備なども完全に除去して新しい建物の基礎を作ります。
しかし、当面はコインパーキングなどの利用で建物を建てないときは、古い建物の基礎や地下施設を除去するのに多額の費用がかかるので地上部分のみ撤去して地下部分を放置した場合や、質の悪い解体業者が解体したコンクリートなどの廃材をそのままその土地に埋めてしまったケースなどがあります。

では、地下埋設物がある土地の場合、相続税等の申告で評価減は可能でしょうか。
 
 まず、ガソリンスタンドの地下タンクが問題となった案件では、裁決では撤去費用の減額を認めませんでした(H28.6.27、H28.7.4)。
理由としては、評価時点でガソリンスタンドとして利用されており、埋設されている地下タンクは、ガソリンスタンドの敷地として利用するに当たり、その目的に従って設置している構築物であり、地下タンクの撤去を前提とした評価は出来ないという内容でした。確かに、ガソリンスタンドを廃業して、その土地をガソリンスタンド以外のために利用するには、地下タンク等の撤去に多額の費用がかかります。ただ、現にガソリンスタンドとして利用している場合には、将来の撤去費用を考慮しての減額は出来ないと考えられます。東京地裁H15.2.26の判決も同様の内容です。地価に石垣等の埋設物がある土地について、建物再建築の際、多額の費用がかかることが想定されていても、現在は建物の敷地として利用されており、他の土地と比べ、利用上の制約及び法令上の差異が無いとして減額を認めませんでした。

 逆に地下埋設物の撤去費用が認められた案件としては、H28.2.29の裁決、東京地裁H20.8.29の判決などがあります。
なお、H28.2.29の裁決は、地下埋設物が争点となったのではなく、納税者が地下埋設物の撤去費用の減額と広大地について更正の請求をしたところ、地下埋設物の撤去費用についてのみ認められたという内容で、地下埋設物の詳細は不明です。

 また、東京地裁H20.8.29の判決についても、地下埋設物撤去費用を控除するのは争いがなく、実際に相続開始後に支払った撤去費用をそのまま控除するか、その80%相当額を控除するかが争点でした(判決は実額を控除)。

 このように地下埋設物についての判決、裁決を見ていくと、仮に地下埋設物が存在しても現に有効に土地利用がされていて、早期に地下埋設物を撤去する必要が無い場合は減額が認められず、現在更地等で、建物を建てる又は第三者に売却する等、地下埋設物の撤去が予定されている場合は減額が可能という判断がされているように思えます。

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