オーナー個人財産の解消、会社への借入金の解消方法

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オーナー個人財産の解消、会社への借入金の解消方法について教えてください 7。
オーナー借入金(社長貸付金)はプレM&A時点で極力解消しておくことが 望ましいです。オーナー個人財産はM&Aにおける譲渡価格算定上、マイナス査定になります。
目次

解説

下記では借入金の各種解消方法を列挙しています。
○金融機関から提示される精算スキーム
7 本問は野中孝男『オーナー社長の金銭貸借(税の難問 解決へのアプローチ)』税務経理協会 (2018/5/16) 貸付金解消方法の編を参照しています。

○会社が債権放棄
○役員退職金と相殺
○役員給与の増額相当分で精算
○生命保険契約で弁済
○代物弁済
○オーナー個人財産の売却相当額を充当
○債権回収会社等に債権譲渡

オーソドックスに、「○役員給与の増額相当分で精算」と「○役員退職金と
相殺」を選択すべきと判断します。税務上は過大性のみ問題となります。

○金融機関から提示される精算スキーム

手順は下記の通りです。
・役員が会社の連帯保証により金融機関から借入します。
・役員は当該金員で会社に対する債務を弁済します。
・会社は返済を受けた金額を原資にして担保物件を購入します。この際、金融機関と連帯保証するのが通常です8。

○会社が債権放棄する。
この場合、所得税法第44条の2の要件チェックが必要となります。

【所得税法第44条の2】
(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)
第44条の2 居住者が、破産法(平成16年法律第75号)第252条第 1項
(免責許可の決定の要件等)に規定する免責許可の決定又は再生計画認可 の決定があった場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく 困難である場合にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除によ り受ける経済的な利益の価額については、その者の各種所得の金額の計
8 本スキームは小林磨寿美他『個人間利益移転の税務―?をQ&A方式でわかりやすく解説〈平成28年改訂版〉』大蔵財務協会(2016/12)P.264〜266を参照しています。
算上、総収入金額に算入しない。

2 前項の場合において、同項の債務の免除により受ける経済的な利益の価額のうち同項の居住者の次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額(第1号から第4号までに定める金額にあっては当該経済的な利益の価額がないものとして計算した金額とし、第5号に定める金額にあっては同項の規定の適用がないものとして総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算した場合における金額とする。)の合計額に相当する部分については、同項の規定は、適用しない。

 一 不動産所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合
当該免除を受けた日の属する年分の不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額

 二 事業所得を生ずべき事業に係る債務の免除を受けた場合
当該免除を受けた日の属する年分の事業所得の金額の計算上生じた損失の金額

 三 山林所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合
当該免除を受けた日の属する年分の山林所得の金額の計算上生じた損失の金額

 四 雑所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合
当該免除を受けた日の属する年分の雑所得の金額の計算上生じた損失の金額

 五 第70条第1項又は第2項(純損失の繰越控除)の規定により、当該 債務の免除を受けた日の属する年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する純損失の金額がある場合
当該控除する純損失の金額

3 第1項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、同項の規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。

4 税務署長は、確定申告書の提出がなかった場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があった場合においても、その提出がなかったこと又はその記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第1項の規定を適用することができる。

 広島高裁平成29年2月8日(TAINZ コード Z267-12978)では、法人の 役員としての地位に基因して債務免除が可能であった状態であり、債務免除後、資産が負債を「上回った部分については」債務を弁済することが著しく困難であるとはいえない、として役員に対する経済的利益と認定し、役員給与に該当すると判示しています。
 当該判示を素直に読むと、債務超過状態の場合は、債務免除益が認められる、債務超過から脱した場合は、経済的利益として、給与認定される、と読めます。
 しかし、真逆であるオーナー貸付金(会社借入金)での提示した判示の基本的な考え方では、貸付金の評価は、債務超過でない場合、券面額、単に債務超過状態に陥っている場合においても、債権の時価評価を券面額より減価することは事実上、不可能であることが明示されています。つまり、いずれにせよ減価できません。表裏一体で平仄を合わせる考え方を採用する蓋然性は全くないものの、上記判示の指針をよりどころにするのは 課税実務では危険と考えます。
 すなわち、この手法はとるべきではありません。 (参照)オーナー借入金(社長貸付金)に係るその他の留意点
・オーナー会社間で金銭消費貸借契約締結、取締役会又は株主総会決議議事録完備

 

【出典書籍】
Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる
中小企業・零細企業のための M&A実践活用スキーム
<ロギカ書房>

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