海外取引の日本円への換算方法

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 個人が外貨建ての経済取引を行い、その後確定申告書を作成するために、日本円に換算する場合のレートの選択につき国内法での概要と、米国の個人外貨建て取引の概要を下記に記載しております。
 ※ 国内法での電信売り相場をTTS、電信買い相場をTTB、仲値をTTMと記載致します。
 ※ 日米とも居住者・非居住者ともに共通事項となります。

【日本国ルール】

1.国内における外貨建取引の換算レート
 それぞれの所得に応じて、下記のように原則と例外が選択できるように規定されています。

2.国外における外貨建て取引の 損益換算レート の例外 
※1・・・
①.上記の海外における不動産・事業・雑所得等を生じる個人の場合、業務の損益計算書等を外国通貨表示により作成している者については、継続適用を条件として、その年末における為替相場により換算することも可能となっています。(所基通57の3-7)
②.この場合はTTM、TTB、TTSの年平均値を使用して換算することもできます。
(所基通57の7注書)

3.為替相場がない場合
円換算を行いたい日の為替相場がない場合は、同日前の最も近い日の為替相場を使用します。
(所基通57の3-2注書3(1))

4.為替相場を選択する目安として
為替レートについて、原則もしくは例外にするかを検討する場合は、所得に与える影響も選択の目安となります。

~CASE~
(条件)
① 為替手数料はTTMについてそれぞれプラスマイナス3円と仮定する(通貨により異なる)。

② 為替レート
  * TTMが105円
  * TTSは108円
  * TTBは102円

③ 原則を選択した場合
  * 収入・・TTM 105円
  * 費用・・TTM 105円   ➣ 所得は0円

④ 例外を選択した場合
  * 収入をTTB102円
  * 経費をTTS108円    ➣ 所得は △6円

 従って、例外の収入TTB、経費TTSを採用すれば、原則TTMの採用に比べて所得が少なく計算されることになる。

⑤結果
このようにすべてをTTMにするより、例外を採用する方が所得が少なく計算される場合があります。

5.「外貨」から他の「外貨」へ変換した場合の為替差損益について
 円を通さず、外貨を外貨に変換した場合や外貨で商品を購入した場合の為替差損益も所得税法36条の収入すべき金額の実現として所得を認識することになります。
 課税庁は「外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引」の範囲に含まれ、いずれも所得税法57条の3第1項に規定する外貨建取引に該当すると主張しています。
(国税不服審判所令和2年7月1日判決)

【米国ルール】

1.米国における外貨建て取引
米国ではSubtitle-Aの,Subpart-Jの§985~989で外貨建取引の取扱いを定めています。その中で米国での外貨建て取引のポイントは≪機能通貨(function currency)≫(注1)かどうかという点にあります。機能通貨でない場合は外貨建て取引の対象外となります。

1)一般的な原則
原則的取り扱いにおける外貨の損益は、下記の外貨利益と外貨損失を個別に認識するように規定されています。

①外貨利益
「外貨利益」とは、予約日以降または支払日の前の為替レートの変動により実現された「機能通貨(function currency)」≪§988の外貨建取引≫(注2)からの利益を意味します。

②外貨損失
「外貨損失」とは、予約日以降および支払日の前の為替レートの変動により実現した機能通貨(function currency)」 (§988の外貨建取引)からの損失を意味します。
※予約日という用語は、取得日または納税者が債務者となる日、または発生した日付またはその他の方法で考慮された日付。
※支払日という用語は、支払いが行われた、または受け取られた日付。

2)機能しない通貨の場合
この条項の目的では≪非機能通貨(nonfunction currency)≫の取引は外貨建取引の対象になりません。「非機能通貨」には、硬貨または通貨、および銀行または他の金融機関によって発行された非機能通貨建てまたは定期預金または同様の商品も含まれます。
3)個人の原則
1)にかかわらず、個人への適用は、外貨建て取引には含まれないとしています。
一般的にこの規定は、個人的な取引である個人によって行われた場合は§988の外貨建取引は適用されないものとします。理由は≪機能通貨≫とはみなされていないからです。
4)特定の個人取引の例外 
① 個人が非機能通貨を取得した場合は、このサブタイトルの目的のために利益が認識されないものとします。ただし、取引で認識される利益が200ドルを超える場合は、前文は適用されないものとします。

② このサブセクションの目的において、「個人取引」という用語は、個人によって行われる取引を意味します。ただし、貿易や個人事業などの収入を得るための取引は除かれます。

(注1)機能通貨(function currency)
 機能通貨とは、企業または事業単位が使用する主要通貨を指します。これは、経済主体が活動する主要な経済環境の金銭的単位で現されることになります。また、機能通貨は国際会計基準(IAS)および米国一般会計原則(GAAP)において、外貨取引および財務諸表の換算に関する規則に規定されています。
(注2)§988-特定の外貨建取引の扱い
 機能通貨による為替損益の一般原則の規定、関連ローン、先物契約、オプション、または同様の金融商品の締結や取得、特定のファンドに関する金融商品、パートナーシップにおけるゼネラルパートナーの利益、ヘッジ取引などが規定されています。

See)
*26 U.S. Code Subpart J—Foreign Currency Transactions
*Code § 985 – Functional currency
*Code § 988 – Treatment of certain foreign currency transactions
*Section162 other than traveling expenses described in subsection (a)(2) thereof
*Section212 other than that part of section 212 dealing with expenses incurred in connection with taxes

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