プロベートが避けられない資産

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 前回第9回に引き続き、日本と異なる相続手続である米国等のプロベート対策ですが、最後の回では、種類によってはプロベートがどうしてもさけられない共有名義の資産がありますのでこの点を記載します。

1.プロベートの回避ができる共有財産

① 生存者受取権が付された「含有財産」  (各人の持分概念がない形態)
② 「夫婦含有財産」          (     〃     )
③ 生存者受取権が付された「夫婦共有財産」 (Community Property)

2.プロベートの回避ができない共有財産

④ 生存者受取権が付されていない「共有財産」(各自に持分がある形態)
⑤ 生存者受取権が付されていない「夫婦共有財産」(Community Property)
⑥ 上記①の財産で最後の1人、もしくは全員が同時に亡くなった場合
⑦ 上記②で残された配偶者、もしくは夫婦の2名とも亡くなった場合

3.夫婦共有財産制度:Community Property

 夫婦が婚姻期間中に取得した財産は、たとえその財産が一方の単独名義となっていたとしても夫婦の共有財産となる制度です。
しかし、夫婦共有財産制度があるからといって、自動的にプロペードを回避できると言うわけではありません。上記の③.⑤.については次のような考え方になります。

《 プロベートが必要な場合 》
 遺言書なしで夫婦の一方が死亡した場合には、相続手続きのときには基本的にプロペードが必要となります。

《 プロベートが不要な場合 》
 夫婦共有財産に生存者受取権が付されている場合や、別途受取人が指定されているなどプロベートを回避する形式になっているときには、プロベートは不要です。

4.生存者受取権:Right of Survivorship

 米国にある預金や証券などの財産は、生存者受取権付の共有名義にすることにより、プロベートを経ずに共有名義者に財産を引き継ぐことができますが、生存者受取権が付されていないケースでは、共有者の一方が亡くなっても、その人の持分は遺された共有者に自動的に権利移転しません。

 財産の共有名義化にあたっては、共有する人によって課税関係が異なりますので日米それぞれの贈与税についても注意する必要があります。資金を出していない人が名義人として加わることは、資金を出した人からの贈与とみなされるおそれがあるためです。

5.米国のプロベートの統一化

 米国では、連邦法と州法があまりばらばらにならず統一できるように、UPC(Uniform Probate Code)という遺産税法上のモデルが示されています。ただし、UPCをそのまま採用している州は全50州のうち18州です。実際のプロベートの内容については、各州の規定を確認することが必要と言えます。 
(米統一州法委員会 https://www.uniformlaws.org/home

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