政令で定められている自己株式の取得とみなし配当の関係について教えてください。
政令で定められている自己株式の取得については、上記みなし配当課税の対象から除外されます。
【解説】
政令で定められている自己株式の取得は下記です(法令233、所令611)。
① 金融商品取引所の開設する市場における購入
金融商品取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものは含まれ、株主が公開買付けに応じる場合には、事前に公表された買取価額で株式発行法人に譲渡するもので、公開買付けに応じる株主と株式発行法人との相対取引になりますから市場における購入とはなりません。この場合、みなし配当課税が生じることになります。
② 店頭売買登録銘柄として登録された株式のその店頭売買による購入
株式で、金融商品取引法第2条第13項に規定する認可金融商品取引業協会が、その定める規則に従いその店頭販売につき、その売買価格を発表し、かつ、当該株式の発行法人に関する資料を公開するものとして登録したものをいいます。
なお、株主が公開買付けに応じる場合には、事前に公表された買取価額で一律に株式発行法人に譲渡するもので、公開買付けに応じる株主と株式発行法人の相対取引になるので、この場合、みなし配当課税が生じることになります。
③ 金融商品取引法第2条第8項に規定する金融商品取引業のうち同項第10号に掲げる行為を行う者が同号の有価証券の媒介、取次ぎ、代理をする場合におけるその売買(同号ニに掲げる方法により売買価格が決定されるものを除きます。)
みなし配当は生じません。
④ 事業の全部の譲受け
自己株式取得解禁前から、営業の全部の譲受けに伴う、譲り受ける営業財産に含まれる自己株式の取得については認められていました。営業の譲受けに伴い、営業財産に含まれ取得される自己株式は、合併や分割により当該被合併法人の資産又は分割事業に係る資産に含まれる自己株式と同様であるとの考え方から、みなし配当適用外とされています。
⑤ 合併、分割、現物出資による被合併法人、分割法人、現物出資法人からの移転
適格分割若しくは適格現物出資又は事業を移転し、かつ当該事業を移転し、かつ当該事業に係る資産に当該分割若しくは現物出資に係る分割承継法人若しくは被現物出資法人の株式が含まれている場合の当該分割若しくは現物出資に限定されます。
また、非適格の分割及び現物出資法人の場合には事業の移転に伴いその移転した事業に含まれる株式が自己株式となる場合に限定されます。
⑥ 適格分社型分割による分割承継法人からの交付
法人税法第2条第12項の11に規定する分割承継親法人株式が交付されるものに限定され、適格分社型分割の対価として分割承継親法人(自己株式)が交付される場合をいいます。
⑦ 法人税法第61条の2第9項による株式交換完全親法人からの交付有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は益金算入の規定に係る金銭等不交付株式交換
法人税法第61条の2第9項に規定する政令で定める関係がある法人の株式が交付されるものに限定され、株式交換完全親法人となる法人の発行済株式等の全部を保有する親法人の株式が交付される株式交換で、その親法人が株式交換完全子法人となる法人の株式を保有していた場合に株式完全親法人となる親法人から自己株式の交付を受けた場合をいいます。
⑧ 合併に反対する当該合併に係る被合併法人の株主等の買取請求に基づく買取り
合併に反対する株主から自己株式を買い取った場合にはみなし配当課税は生じません。
⑨ 会社法第182条の4第1項(反対株主の株式買取請求)
資産の流動化に関する法律第38条(特定出資についての会社法の準用)又は第50条第1項(優先出資についての会社法の準用)において準用する場合を含みます。
⑩ 会社法第192条第1項(単元未満株式の買取の請求)又は第234条第4項(1に満たない端数の処理)(同法第235条第2項(1に満たない端数の処理)又は他の法律において準用する場合を含みます。)の規定による買取り
⑪ 法人税法第61条の2第14項第3号に規定する全部取得条項付種類株式を発行する旨の定めを設ける会社法第13条第1項(事業年度の意義)に規定する定款等の変更に反対する株主等の買取請求に基づく買取り
その買取請求の時において、当該全部取得条項付種類株式の同号に定める買取決議に係る取得対価の割合に関する事項(当該株主等に交付する当該買取りをする法人の株式の数が1に満たない端数となるものに限定されます。)が当該株主等に明らかにされている場合(法第61条の2第14号に規定する場合に該当するものに限定されます。)における当該買取りに限定されます。
⑫ 法人税法第61条の2第14項第3号に規定する全部取得条項付種類株式に係る同号に定める取得決議
当該取得決議に係る取得の価格の決定の申立てをした者でその申立てをしないとしたならば、当該取得の対価として交付されるものとなる当該取得をする法人の株式の数が1に満たない端数となるものからの取得(同項に規定する場合に該当する場合における当該取得りに限定されます。)に係る部分に限定されます。
⑬ 会社法第167条第3項(効力の発生)若しくは第283条(1に満たない端数の処理)に規定する1株に満たない端数(これに準ずるものを含みます。)又は投資信託及び投資法人に関する法律第88条の19(1に満たない端数の処理)に規定する一口に満たない端数に相当する部分の対価としての金銭の交付
この場合、取得価額を資本金等の額からそのまま減額するだけです。
【出典書籍】
Q&Aみなし配当のすべて
<ロギカ書房>
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