会計人のためのExcel活用術(9)

会計データの編集で押さえておきたい「入力規制」と「保護」機能

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 会計事務所では、立替経費精算書などの帳票のひな形を顧問先へ提供することがあります。これらの帳票をExcelで作成することも多いと思います。
 今回は、これらのひな形帳票を作成する際に便利な機能をご紹介します。

(1)「入力規制」機能

 「入力規制」は、セルに入力できる値の範囲を限定させる機能です。
たとえば、「数値のみ」とか「日付のみ」、あるいは「リストに提示した値のみ」といった形で、間違いを最初から入れさせないためのものです。
 なので、一般社員に入力してもらうような帳票をExcelで提供する際によく使われる機能になります。
 具体的に、経費精算書の例でみていきましょう。
 各人が立替えた経費は、月毎や週毎に下記のような経費精算書にまとめて提出してもらうのが一般的です。この経費精算書をExcelで作成するケースで考えてみます。

 このとき、エラーデータを入力させないように「入力規制」機能を使って、入力できる値を限定します。
 たとえば、次の3つの規制を入れるケースで見てみます。
 ①「支払日」の列には「日付」データしか入力できない
 ②「勘定科目名」には右に列挙した科目しか入力できない
 ③「金額」には「数値」データしか入力できない

① 「支払日」の列には「日付」データしか入力できない
 入力規制したい範囲(「支払日」の列)を選択して、メニューバーの「データ」→「データツール」の中の「データの入力規制」を選びます。
 規制内容を指定するポップアップ画面が出てくるので、「入力値の範囲」を「日付」に、採りうるデータの範囲として「次の値以上」、「開始日」には例えば「1900/1/1」(「2000/1/1」でも特に何でもいい)を指定します。

 これで指定した範囲は「日付」データしか入力できなくなります。
 文字列データを入力した場合、下記のような規制がかかり、再入力を求められます。

② 「勘定科目名」には右に列挙した科目しか入力できない
 同じように今度は、「勘定科目名」は列挙した科目しか入力できないようにします。
 今度は「入力規制」の「入力値の種類」として「リスト」を指定します。

 「リスト」の範囲として、「元の値」に、右の勘定科目(セル範囲)を指定してOKをすると、限定した勘定科目しか選べないようになります。

③ 「金額」には「数値」データしか入力できない
 「金額」欄に「数値」データしか入力できないようにさせるのも、やり方は同じです。
 金額の入力範囲を選択して「データ入力規制」→「入力値の種類」に「整数」、「データ」に「次の値以上」、「最小値」として「0」を指定してOKします。
 こうすることで「0」以上の整数値しか入力が出来ないようになります。

 このように「入力規制」機能を使うと、論理的にありえないデータの入力を最初から排除させることが出来ます。
 この機能を使うことで、つまらない入力ミスがなくなるため、チェック項目を絞ることが出来るようになります。

(2)「保護」機能

 「入力規制」とセットで押さえておきたいのが「保護」機能です。これを使うことで、必要最小限の範囲しか触らせないようにすることが出来ます。
 設定方法としては、まず「①編集させたい範囲を設定」した上で、次に「②シートの保護」を使って、指定した範囲以外の箇所は触らせなくさせるという手順になります。

① 編集させたい範囲の設定
 メニューバーの「校閲」→「範囲の編集を許可する」を選択します。
 ポップアップ画面が出てくるので、ここで「新規」として入力してもよい範囲を指定してOKします。

② シートの保護
先に編集できる範囲を設定した上で、次にシート全体を保護(触れなく)します。

 さらに、一般社員が編集できる範囲と分けて、経理部門のみが編集できる範囲(例:勘定科目の集計欄)を設定したいときは、「①編集させたい範囲の設定」のところで、一般の編集範囲とは別に経理編集用の範囲も設定します。ここには範囲パスワード(編集する際に必要となるパスワード)をしてから「②シートの保護」を行います。

 経費精算書に限らず、他にもいろんな入力シートを簡易的にExcelで作成することも多いと思います。
 そんなときに、今回ご紹介した「入力規制」機能と「保護」機能を知っていると、おかしな値が入力される間違いをなくすことが出来ます。
 チェックの手間を減らすためにも、ぜひ、押さえておきましょう。

 次回は、<会計データの編集で押さえておきたい「関数」の基本編>についてご紹介します。

 

会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>

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