会計人のためのExcel活用術(8)

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 今回は「条件付き書式」を見ていきます。
 ある条件を設定し、その条件に合致するセルに書式設定(色付けやマーク)を行える機能です。
 「並べ替え」や「フィルタ」といった機能に比べると、そこまでメジャーな機能ではありませんが、会計データに限って言えば、数値条件によってセルの色を切り替えたりできるので、非常に重宝する機能です。
 具体的に、どんな場面で使うのか見ていきましょう。

(1)「条件付き書式」の基本的な使い方

 条件付き書式でよく使うのは、条件に合致するセルに色をつけるというものです。
 たとえば、月次損益推移表で見ていきましょう。
 粗利率が基準値を下回っている月に色付けして注意喚起するといった場面で活用します。
 月次損益推移表の粗利率のセルを全て選択してメニューの「ホーム」→「条件付き書式」をクリックします。
 条件設定を行う画面が出てくるので、「セルの強調表示ルール」→「指定の値より小さい」→指定値として、たとえば「33%」と設定すると、粗利率が「33%」より小さいセルに色付けがされます。


 簡単な作業ではありますが、内容を細かく検証する時間がないときには、これをするだけでも意思表示の入った報告資料になります。
 会計ソフトから出力される月次損益推移表を何も加工せずに、そのまま提示するよりは評価ポイントは高くなります。

 同じように売上高に色付けする際にもよく使います。売上高が予算値を上回った月に色付けをして目立たせる、という使い方です。
 予算値(2000万円)を超えた月の売上高を「緑」色にする例で見てみましょう。


 基準値や目標値と比較して何かを説明したいときに、強調したいポイントにだけ色付けできるので、時間がないときや、ちょっとした報告の際に役立つ機能です。

 条件は細かく設定することも出来るのですが、基本的には「ある値より大きい(小さい)」、「平均より上(下)」の2つくらいを覚えておけばよいでしょう。
 あまり複雑な条件を指定しても、何を説明したい資料なのかよくわからなくなってしまうので、会計データでよく使う設定はその2つくらいだからです。
 また、強調表示の仕方も色付けだけでなく、セルの中に棒グラフを表示させたり、アイコン表示をさせたりもできるようになっています。
 こちらも会計データを説明する上では、かえってわかりにくくなってしまうので、色付けだけ出来れば十分です。

(2)「条件付き書式」の応用的な使い方

 会計データでは、前期との損益比較をよく行います。
 前期の数値と比較して変動が大きな科目について内容を検証します。
 このとき「条件付き書式」を使うと、一定の数値以上の変動があった科目に色付けをすることが出来ます。対象数値に色付けをすることで、より確認すべき科目が明確になります。


操作自体は基本的な使い方と同様ですが、条件指定の仕方が、単純な「指定の値より大きい(小さい)」ではないため、少しだけ工夫が要ります。
たとえば、「±500,000以上の差異(変動)」に対して色付けをしたい場合、「▲500,000~500,000」の範囲以外という、ちょっと回りくどい条件指定の仕方をしなければなりません。
デフォルトの条件項目としてはリストにない指定の仕方なので、新しいルールとして、この条件を作る必要があります。

まず、増減額の列の数値を選択して、「条件付き書式」をクリック。「セルの強調表示ルール」を選びます。このとき、一覧に出てこない条件を指定したいので、「その他のルール」を選択します。
ポップアップ画面の「ルールの内容を編集」のところのプルダウンで、「セルの値」に対して「次の値の間以外」を選びます。
 値の範囲を指定できるようになるので、「-500,000」と「500,000」を値に指定します。
 書式(色)もあわせて設定します。
 これでOKをすれば、「-500,000~500,000」の範囲以外の数値、つまり「±500,000以上の差異(変動)」があるセルに色付けをすることが出来ます。


さらに前回みた、色による「フィルタ」を使えば、色付けした科目のみに絞って表示させることも出来ます。


 より重点を絞って個々の科目を検証したいときに役立ちますので、あわせて押さえておきましょう。

 一般的な表ではあまり使わない見方になりますが、会計の表では「±●●以上の差異」という見方はよくします。
 一般的ではない分、条件指定の仕方が少し煩雑になりますが、会計データを扱う上で知っておくと役立つ場面が多いと思います。

 次回は、<会計データの編集で押さえておきたい「入力規制」と「保護」機能>についてご紹介します。

 

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会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>

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