前回の「並べ替え」と同様、「フィルタ」機能もExcelでよく使われる機能の1つです。
会計データを編集する際にも非常に便利な機能ですので、しっかり使えるようにしておきましょう。
(1)「フィルタ」の基本的な使い方
「フィルタ」は、特定の条件に合致する明細だけを表示させたいときに使う機能です。
一覧表で処理したい対象月の明細行だけを表示させるとか、ある条件に合致した明細の集計をとりたい、といった場合に使える機能です。
たとえば、請求一覧表で考えてみましょう。まず、表のどこでもよいのでセルを選択し、メニューバーの中の「データ」→「フィルタ」をクリックします。
そうするとExcelが自動的に表を認識してくれ、項目行(1行目)にマークが出てきます。
「請求日」の横のマークをクリックすると、表示させたい明細の条件指定画面が出てきますので、ここで、たとえば「7月」の請求日のものだけを指定します。
そうすると、「請求日」が7月の明細だけが表示されるようになります。
これらを7月の月次処理の仕訳入力で利用するといった使い方です。
もう1つ別の例で見てみましょう。
今度は、月別給与一覧表で雇用保険対象者だけをピックアップするケースを考えてみます(労働保険申告書で、雇用保険料部分の給与集計をしたいときなど)。
月別の給与一覧表で、雇用保険対象者には「●」マークがついているとします。
このとき「●」マークで「フィルタ」をかけると、対象の行のみが表示されます。
表示されている明細行の数値部分を選択すれば、Excelシートの下部に選択部分(●対象)の合計額等が表示されます。
この集計値を使って帳票作成に活用するといった使い方が可能になります。
「フィルタ」は、ある条件に合致した明細のみを加工したり、集計したいときに非常に使い勝手のよい機能です。
会計データのように件数が大きければ、さらにその効果を発揮します。
一瞬で条件に合致した明細のみに絞り込んでくれますので、いろんな場面で活用できます。
まずは基本を押さえておきましょう。
(2)少し応用的な「フィルタ」の使い方
報告資料をExcelで編集する際、「セルに色を付けて目立たせる」という処理がよく行われます。説明においては、色で視覚化して強調するのが一番わかりやすいからです。
たとえば、
・売掛金の回収予定表で、回収が一定期間滞っている得意先と担当者名に色付けする
など。
その他にも、人に説明するような帳票では、強調したい箇所に色付けをすることが結構あります。
このような色だけで識別されている明細行についても、フィルタをかけることが出来ます。
つまり、数値や値ではなく、色によっても「フィルタ」をかけられるようになっています。
色以外に識別するものがない場合や、識別項目があったとしても、複雑な条件設定をしないと明細を識別できないようなケースでは、色を使った「フィルタ」を知っていると役立ちます。
先ほどと同じ例で見てみましょう。
月別給与一覧表で、雇用保険対象者の氏名に色付けがしてあるとします。
(先ほどの例では「●」マークをつけて識別していましたが)
このとき、色によるフィルタをかけることで表示を絞りこむことが出来ます。
色付け項目がある列のマークをクリックすると、「色フィルター」という項目が選択できるようになっています。該当の色を選択することで、色付けした明細だけが表示されます。
人が何らかの判断をして既に明細行に色付けがされている表では、この「色によるフィルタ」を知っているとっていると便利です。
条件を考えて、識別用の項目を設ける手間が省けます。
操作方法としては、基本の「フィルタ」操作と同じですので、「色でもフィルタが出来る」という点を押さえておきましょう。
次回は、会計データの編集で押さえておきたい「条件付き書式」機能についてご紹介します。
会計データでは、数値条件によって特定セルの書式を切り替えるといった使い方をよくします。会計データに少し加工をしたいときに重宝する機能です。
会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>