資本の払戻し、残余財産の分配とみなし配当

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資本の払戻し、残余財産の分配とみなし配当について教えてください。
資本の払戻し(所法25①四、法法24①四)、解散による残余財産の分配(所法25①四、法法24①四)については、下記の取扱いが原則です。

【解説】

 両者とも中小零細企業実務においては、極めて頻繁に生じるため、常に考慮対象となります。
 資本の払戻し又は解散による残余財産の分配により、株主等に対して金銭を払い戻した場合、当該払戻金銭等の額のうち払戻等対応資本金額等を超える部分の金額については、利益積立金の払戻しとして、株主等に対するみなし配当と認識します。

 資本の払戻しにより交付する金銭等の額は、株主平等原則に基づき行われます。すなわち、資本の払戻しを行った場合、株主が保有する株式数に異動は生じません。発行法人の純資産の部の金額は計算上、減少します。払戻し後の法人財産に対しては、払戻し直前の株主が、その払戻し前と同じ保有株式の割合で支配が及ぶことと考えます。以上より、株主間平等原則は損なわれません。
 
 払戻しがあった場合、租税法では、有価証券の譲渡原価の額の計算は交付される金銭等の額に応じて損金算入されることとなります。このため、払戻し直前の 1 株当たりの株式の時価や純資産価額の多寡と払戻しによる交付する金銭等とは直接関係しません。
 
 すなわち、払戻しによりどの程度の金銭等の交付を行うかは、発行法人が自由に決定できるものであり、租税法は介入しません。

 

【出典書籍】
Q&Aみなし配当のすべて
<ロギカ書房>

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