相続人がいない場合の相続税等の課税関係

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 生涯未婚である方も増えており、また、子供の出生数も減少しています。このため、相続人が全く存在しないという相続が今後増えていくと推測できます。一般的には相続税がかかるような者であれば、遺言を作成しますが、遺言を作成前に亡くなるケースもありえます。このような場合、相続税の申告はどうなるのでしょうか。

 相続人がいることが明らかでない場合は、被相続人の遺産は「相続財産法人」となります。相続財産法人とは、相続人がいるかいないか不明な場合(戸籍上はいない場合、又は全ての戸籍上の相続人が放棄している場合)に、法人化した相続財産の事です。相続財産を管理するため、相続財産自体を法人化したと考えると分かりやすいと思います。相続財産法人は自動的に作られ、手続きは不要です。次に、相続財産法人の財産を管理する相続財産管理人が選任されます。利害関係人(債権者など)や検察官の請求により、家庭裁判所により相続財産管理人が選任されます。詳細な手続きは省略しますが、相続財産管理人が相続人の有無を調査しても現れなかったときは、相続財産から債務等の支払いを行います。残額がある場合で、特別縁故者(被相続人と生計を一にしていた者、被相続人の療養看護に努めた者など)から財産分与の請求があれば、家庭裁判所は、残存する相続財産の一部又は全部を与えることができます。更に、この手続き後、被相続人が持分を所有する共有財産がある場合(土地の1/2の保有など)、その持分は他の共有者に帰属します。この手続きを経てもなお残存する相続財産は国庫に帰属します。

 被相続人の準確定申告、未納の税金等の納付は相続財産法人が行います。準確定申告の期限は、相続管理法人の管理人が選任されてから4か月以内です。

 特別縁故者が相続財産を受け取った場合で、相続税の申告義務がある場合は、相続財産の分与の審判が確定し、特別縁故者が財産の分与があったことを知った時から10か月以内に相続税の申告が必要です。なお、相続人がいませんので基礎控除額は3,000万円です。財産評価の基準日は、裁判所の審判が確定した時です。死亡の年分ではありませんので注意が必要です。以上のことは、相続税法4条に規定があります。

 また、共有者で共有持分を取得した場合も特別縁故者の場合と同等の取り扱いとなります。条文上には規定されていませんが、相続税法基本通達9-12に規定があります。共有者が共有持分を取得する時期は、特別縁故者がいる場合は、特別縁故者に対する分与の審判が確定する時期と同一です。

 なお、所得税法60条により、相続又は遺贈により不動産などを相続した場合は、相続人は被相続人の取得時期及び価格を引き継ぎますが、上記の特別縁故者等が「みなし遺贈」で財産を取得した場合には、同法の適用がありません。所得税法上の「遺贈」は民法上の遺贈に限られ、「みなし遺贈」は含まれないからです。このため、限定承認をした場合と同様に、分与を受けた時期に時価で取得したものと扱われます。特別縁故者等が分与により取得した財産を譲渡する際には、取得時期及び取得価格に誤りが無いように注意が必要です。

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