「貼り付け」も日常的によく使われている操作の1つです。
コピーの「Ctrl+C」とあわせて、「Ctrl+V」で覚えている方も多いでしょう。
今回と次回は、2回に分けて「貼り付け」について見ていきます。
会計データを加工する際によく使うのは、単純な「貼り付け(Ctrl+V)」よりも、「形式を選択して貼り付け」です。これを押さえておくと編集が楽になります。
「形式を選択して貼り付け」の基本的な機能を確認したあと、応用的な使い方を見ていきましょう。
(1)形式を選択して貼り付け(基本)
表形式を操作することが多い会計データでは、「罫線は元のまま、値だけを貼り付けたい」あるいは「値は貼り付けずに罫線などの書式だけを揃えたい」といったケースが頻発します。
このときに使うのが「形式を選択して貼り付け」です。
まず「値」のみを貼り付けたいケースを見てみましょう。
他のケースでも見てみましょう。今度は、値は上書きせずに、コピー元の書式だけを引き継がせたいようなときです。この場合は、「書式」を選択して貼り付けます。
他にも、いろんなパターンの貼り付け方がありますが、会計データでよく使うのはいま見た「値」と「書式」、あとは「数式」という3つくらいです。
「数式」というは、コピー元が関数などの数式の場合に、その数式のみを貼り付けたいときに使います。例えば、集計(SUM)の数式のみを貼り付けたいケースなどに使います。
「形式を選択して貼り付け」が使えると、貼り付けた後に表の書式をいちいち整える手間が減ります。
いろんなパターンを覚える必要はないので、基本となる3つ(値、書式、算式)の貼り付けを押さえておきましょう。
(2)形式を選択して貼り付け(応用編①)
「形式を選択して貼り付け」には、応用的な使い方がいくつかあります。一般的にはそんなに使うものではないのですが、会計データの編集においては便利なものが結構あります。
その1つめは、「演算貼り付け」です。
会計データでは「貸方」の数値をExcel 上でマイナス表記に変更したい場面があります。
たとえば、現金出納帳の日次残高推移表や、その他の科目の月次残高推移表で「貸方」をマイナス表記にして棒グラフにしたいケースなど。
このときに、関数を使わないで「貸方」をまとめてマイナス表記に変換することが出来るのが「演算貼り付け」です。
まず、どこでもいいので、適当なセルに「-1」を打ち込みます。
このセルをコピーし、マイナス表記に変換したい「貸方」の値をすべて選択して「形式を選択して貼り付け」を行います。このとき、「演算」という枠の中の「乗算」という項目を選択します。これを使うと、値を「乗算」(かける)という貼り付けが可能となります。
「-1」がすべての「貸方」に「乗算」(かける)され、結果、まとめてマイナス表記に切り替えることが出来ます。
他の例としては、数値全体を1000分の1にしたいときに「1000」を「除算」(÷)する貼り付けをすることで、全体をまとめて1000分の1にすることが出来ます。
「演算貼り付け」を覚えておくと、関数や演算式を使わずに、数値をまとめて変更したいときに重宝します。
会計データの編集では、一般的な表編集に比べて、そのような場面が多くなります。
難しい機能ではないので、基本とあわせて、ぜひ押さえておきましょう。
次回は、今回の続きです。「会計データの編集で押さえておきたい基本操作(貼り付け)」の2回目として、「形式を選択して貼り付け」のその他の応用的な使い方をご紹介します。
会計データの価値を最大限引き出すExcel活用術
<清文社>