国、地方公共団体等に土地を貸借している場合の評価

不動産

土地の賃貸借については、当事者の双方が個人や民間の法人ばかりではなく、相手方が国や地方公共団体などの公的機関である場合もあります。このような場合、相続税等の土地の評価はどのようになるのでしょうか。
 まず稀に見受けられるのが地元の名士が地方公共団体等に土地を無償で貸している場合です。使用貸借なので原則更地評価となります。ただ、無償使用と言っても利用されている施設によっては、容易に返還されない場合もあります。平成20年5月21日の裁決では次のように言っています。

 使用貸借地に存する建物が極めて公共性の高いもので、土地所有者と土地使用者(建物所有者)の双方の意思のみによって使用貸借地における貸借関係を解消させることが事実上不可能であると認められる場合など、使用貸借通達が予定している使用貸借地と比較して利用上の制約や処分上の制限を受けるような、特殊事情が存するような場合に限り、利用上の制約を斟酌して評価することも認められるものと解される。

 逆に賃貸借でも借地権減額を認められなかった、平成23年11月17日の裁決もあります。

 当該図書館建物の所有を目的とする借地権の設定がされたものと認められるものの、
①本件賃貸借契約書には、本件被相続人が本件土地の譲渡を希望するなどの場合には、賃借人であるa市は更地価格を意味する「適正価格」で買い取る旨がが定められていること、
②本件賃貸借契約における賃貸料の額からみて、本件土地上の借地権の価額については何ら考慮されていないこと、
③a市が本件土地に係る鑑定評価を依頼した際に、a市は本件土地を買い取るに当たって考慮すべき借地権の価額は存在していなかったと認識していたものと認められ、また、実際にも本件土地は鑑定評価額に近似した価額で請求人からa市に譲渡されており、借地権の存在を考慮した価額で譲渡されたものではないことが明らかであること
などからすると、本件相続開始の日において、借地権が存した本件土地の自用地の価額から控除すべき借地権の価額はなかったと認められる。

 このように公的機関との賃貸借については、内容に応じて借地権の減額内容が変わる場合がありますので、実態について確認することが必要です。
 また国有地等を賃借している場合、借地権の計上は必要でしょうか。
まず国有財産は、行政財産と普通財産に分かれます。行政財産は私権の設定が出来ませんので、有償で借りたとしても借地借家法の適用はなく借地権の計上は不要です。普通財産の場合は私権の設定も可能で、借地借家法の適用は制限されません。このため、原則的に借地権の計上が必要になります。仮に賃貸借の終了後、国に無償で返還するとなっていても、貸付期間、契約の更新などは借地借家法と類似の取り扱いがされるなど一般借地権と差異がないからです。

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