不動産所有権付リゾート会員権の評価

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 昔は一定の富裕層になれば別荘を持っている人も多くいました。しかし、近年は維持管理が困難である等の理由から、別荘を保有している人は大きく減りました。別荘地の地価についても一部の人気のある地域を除いて大きく値下がりしています。別荘ではなく、普通の生活ができるような間取りであれば、永住用やセカンドハウスとして一定の需要があるようですが、広いリビングにベットルームが1つだけのような別荘に特化した間取りは、需要が極端に限られています。

 これに反して、不動産所有権付リゾート会員権は一定の人気があります。これは、リゾートホテル等の一室を十数名程度で共有する不動産売買契約と施設相互利用契約をその内容としています。リゾート会員権の所有者は、不動産の持分割合に応じて施設の利用権が割り与えられます。また、所有している物件だけではなく、会員権の運用会社の系列ホテルについての利用も可能です。

 このようなリゾート会員権を個人や法人で所有しているケースはよく見受けられます。遠隔地に非常に少ない共有持分の不動産を持っているケースなどは、リゾート会員権の保有ではないか、とまず考えます。

 では個人に相続が発生した場合や法人の株価を計算するとき、そのリゾート会員権の不動産部分について評価する必要があるのでしょうか。

 このようなリゾート会員権を取得すると不動産の所有権(共有持分)も取得しますが、一般的には不動産を単独で売却はできません。不動産そのものを所有しているというよりも、リゾート会員権の保有条件として不動産の持分があることから、不動産の持分の評価額をその者の財産とするのは適切ではないと考えられます。このため、市場での取引価格のあるリゾート会員権については、不動産部分の評価をすることなく、リゾート会員権の市場価格を基に評価をすることとなっています。

 一定のリゾート会員権は、売買を仲介する複数の業者がいて、一定の市場が出来上がっています。部屋のグレード、優先利用の程度等に応じて価格が決定されています。

 具体的には、該当するリゾート会員権の課税時期における通常の取引価格をもとめ、その70%相当額により評価します。取引相場のあるゴルフ会員権の評価方法に準じた評価方法です。

 課税時期における通常の取引価格は、仲介業者がネット上で掲載している価格を参考として算出します。ゴルフ会員権の場合は、税務署が精通者の意見価格を把握しており、その価格を口頭で教えてくれますが、リゾート会員権の場合はその制度はありません。このため、自ら市場での相場を調べる必要があります。

 なお、土地の評価水準が80%なのに対して、評価水準が70%となっているのは、取引の形態が業者を仲介する場合や取得者が直接取引する場合など一様でないこと、取引業者の仲介した取引もバラツキがある等から評価上の安全性を考慮してのものです。このため市場価格を把握の場合には、業者の買取り価格ではなく、あくまで市場での推定取引価格とすべきだと考えます。

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