【解説】
・秘密保持契約(NDA)
М&Aの過程において具体的な情報についてやりとりする前提として関係者の秘密保持義務を定める契約。
・基本合意書(MOU、LOI)
買収の手法、買収予定価格、スケジュール等の基本的な条件に関する売主と買主との合意について交わす書面。法的拘束力がない形式で取り交わすのが一般的。
・独占交渉権
М&Aにおける独占交渉権とは、一定の期間、売主側が買主側以外の第三者と交渉することを制限し、買主側が売主側と独占的に交渉できる権利(3か月程度が通常)をいい、基本合意書の中に盛り込まれることが多いです。隠れた意図として、売主側への心理的圧迫効果を狙っています。
・デューデリジェンス(DD、買収監査)
買収対象会社の財務、税務、法務等について内容を調査することをいいます。中小・零細企業においては、事業よりも、財務、税務、法務を基本とし、ビジネス、環境(代表的なのが土壌汚染等)等について実施される場合もあります。事業DDは買手が、法務DDは弁護士が、財務DDは会計士・税理士・弁護士が実施するケースが一般的です。
・最終契約書
M&Aにおける最終契約書とは、デューデリジェンス後に買収価格等の最終条件の交渉を経て締結される最終の契約書をいいます。例えば、株式譲渡であれば株式譲渡契約書が最終契約書に当たります。
・表明及び保証
M&Aにおける表明及び保証とは、M&Aのプロセスにおいて開示された事実関係や資料等がクロージング時点において、真実かつ正確であることを表明し、保証することをいいます。表明及び保証に違反した場合には、「取引を実行しない」あるいは「違反した当事者が金銭的な補償をする」という条項を定めることが一般的です。中小・零細企業実務においてはこの条項の実効力が事実上、ないため、「取引を実行しない」という結論に至ります。
・クロージング
最終契約書に基づく取引の実行を意味します。株式譲渡の例で言えば、売主による株式の譲渡、買主による譲渡代金の支払いがこれに該当します。
・FA
ファイナンシャルアドバイザーのこと。M&Aに関する一連の手続き・助言を行います。税理士は通常、この役割でM&Aに参画します。
・FA契約
FAとの契約です。通常の法人顧問契約書とは別に作成されます。
・リーグテーブル
M&Aのアドバイザリー会社の業務に関与した取引金額や案件数に関するランキングをいいます。
・着手金
FAに案件着手前に支払う着手金。売手が翻意しない意図で取る目的があります。最近では、完全成果報酬型のブティックが増加しているため、着手金の発生はケースバイケースになっています。
・ノンネームシート
売手企業を匿名にして、その事業内容や業績等が要約されたA4、1枚サイズのシート。
・ネームクリア
売手企業の名前を買手に公表すること。
・インフォメーションメモランダム
売手の初期的情報を買手に提供するもの。
・エクゼキューション
M&Aにおける一連の手続きを成就に向けて指揮監督することをいいます。
・M&Aブティック
M&Aアドバイザリー業務の専門機関。
・入札方式
オークション、ビッド、コンペ。複数の買手が名乗り出たときこうなります。事業再生型M&Aの実務ではこれがなされます。
・クロージング
M&A契約手続き完了のことをいいます。
・レーマン方式
取引金額に応じて一定の料率をかけて算出される報酬体系をいいます。現在では、FA業者がダンピングしており、また報酬の取り方も多種多様になったため、当該報酬体系がそのままとられるとは限りません。従来の報酬体系として参考程度に利用できます。
・ロングリスト
FAによってリストアップされた企業一覧。
・ショートリスト
ロングリストから絞り込まれたものをいいます。
【出典書籍】
Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる 中小企業・零細企業のための M&A実践活用スキーム
<ロギカ書房>
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