不動産M&Aとみなし配当①

不動産
不動産M&Aとみなし配当に関しての関連事項を教えてください。~不動産M&Aのタックスプランニングの基本思考も含めて~
 不動産M&A実行はタックスプランニングによるスキーム策定が全てです。
そこで、この問に関しては、不動産M&Aのタックスプランニングも絡めて解説します。

解説

【解説】
 初めに不動産M&Aに関する基本思考、実務の勘所を列挙します。

・公開企業のM&Aでも中小・零細企業のM&Aにおいても、プレM&AにおけるタックスプランニングがM&Aスキーム策定においては要です。こと不動産M&Aはそれが全てです。

・中小・零細企業における事業M&A(会社の事業に係るM&A)は、組織再編成を考慮することは課税実務ではほとんどなく、不動産M&A実行時のみ考慮要素となります。

・不動産M&Aにおける組織再編成手法は大別すると2種あります。平成29年度税制改正を受けた手法と従来からある手法です。

・不動産M&Aは法人税等、不動産取得税、登録免許税、印紙税を総合勘案してシミュレーションします。

・M&A対象の不動産が含み益、含み損、またはM&A対象外の事業部門が含み益、含み損で、計4パターンにについてそれぞれ最適な手法は異なります。

 「中小M&Aガイドライン―第三者への円滑な事業引継ぎに向けて―令和2年3月中小企業庁」(※1)及び参考資料、概要資料(※2)においても合併等組織再編成手法もM&Aにおけるスキームの1つとの解説があります。

 また、『中小企業白書2018』296頁においては、M&Aにつき「買収」(手法)の分類として、「株式譲渡」又は「事業譲渡」が並列されています。そこでは、「買収」(手法)と並列されて「合併・分割」が記載されています。
 そして、「合併・分割」から「合併(吸収合併)」又は「会社分割(吸収分割)」が並記されています。
 これをもって、M&Aを言及する際、上記の組織再編成(中小企業白書においては、株式交換について言及されていませんがこれも同様の効果を有します。)を含めることが多いように思われます。

 しかし、中小・零細企業における事業M&A(ここでは会社の事業に係るM&Aと定義します)は、上記の組織再編成を考慮することは事実上ありません。中小・零細企業における事業M&Aは「株式譲渡」と「事業譲渡」(事業譲渡は租税法において組織再編成行為に類型されますが、課税実務においては言及すべき論点は比較的少ないです。ここでは、会社分割を主たる論点とします。)と「個別資産譲渡契約」の3択となります。

 

続きを読むには・・・
この記事は、無料会員登録をすると
すべて読むことが出来ます。

すでに会員の方はログイン

[dropshadowbox align=”none” effect=”raised” width=”auto” height=”” background_color=”#f2f2f2″ border_width=”0″ border_color=”#dddddd” rounded_corners=”false” inside_shadow=”false” outside_shadow=”false” ]

【出典書籍】
Q&Aみなし配当のすべて
<ロギカ書房>

[/dropshadowbox]

記事に関する質問は一切受け付けておりませんので、ご了承ください。
ご質問がある場合は、こちら

関連記事

この投稿者のその他の記事