中小・零細企業における事業承継の選択肢

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中小・零細企業における事業承継の選択肢はどのようなものがありますか。
事業承継手法の選択肢を俯瞰しましょう。

解説

(※1)
原則として実行不可である理由は、拙著『Q&A 中小・零細企業のための事業承継戦略と実践的活用スキーム』(ロギカ書房)をご参照ください。
(※2)
週刊税のしるべ令和元年10月21日第3383号によると、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」は事業承継時に焦点を当てた経営者保証ガイドラインの特則の策定に向けた実務的な検討を行うワーキンググループを設置したそうです。
 当該特則においては、新旧経営者からの二重徴求は原則として禁止される模様です。本稿脱稿時点、特則の具体的な要件が不明ですが、第三者承継者が個人保証を嫌がる、という従来の傾向が幾分緩和されるかもしれません。そういった緩和方策を打ち出してもらうことを筆者は期待します。

 上記の手法は結局、誰に引き継がせるかで決定されることになります。
 通常、事業承継というワードは専ら承継時の株式異動に係る税負担軽減スキームを考えることに終始した定義です。いわゆる経営権の承継については経営そのものなので税理士等士業では適切なアドバイスは不可ですし、経営のプロでない税理士等士業がそこまでアドバイスするのは不遜です。ここでは、経営承継の観点から一般的に挙げられる、代表的な課題について整理します。当然、最終的にはクライアントが決定することです。

・経営承継する必要性と可能性の見極め

現在の事業について、将来性を考えた時、承継する価値があるのかどうかについて、客観的把握が必要となります。それに伴い、包括承継か、事業一部承継か、M&Aか、それとも廃業か、について見極めが必要となります。

・後継者候補の見極め

親族内に適当な候補はいるか、候補者がいる場合、(複数人含めて)適切な選定基準を持っているか、候補者がいない場合、(親族の意思疎通も含めて)親族外承継する事が現実的に可能か(中小・零細企業の場合、通常この点は個人保証の問題に終始されます。ただし、当該問題の今後の動向については前述を参照してください)。

・関係者(各ステークホルダー含む)の理解、コンセンサス

どの承継手段を選択しても、親族及び利害関係者の評価を得ることが可能か?

・経営権の集中

承継(親族、役員・社員)に際して経営の安定を維持しながら世代交代を進めるために、後継者に対して経営権を確立することが可能か?例えば株式が分散している場合、その自社株式を後継者に集中させることが可能か、その際、遺留分侵害額請求に配慮しているか?法的対策の知識習得及びリーガルアドバイスを受けることが可能か?

・選択した承継資産については資金が必要

仮に承継資産の買取りが発生する場合(特に親族外承継)、その対策を実行することが可能か?また、上記以外にも許可の承継、保証債務の引継ぎ、技術承継、事業用地の扱い等の課題をクリアできるか?

・承継課題にいつ取り組んでいくか

承継課題を円滑に進めていく上で最も重要なポイントです。早ければ早いほどいいです。

 

【出典書籍】
Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる 中小企業・零細企業のための M&A実践活用スキーム
<ロギカ書房>

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