相続税法第9条の意義と考え方②

贈与税
相続税法第9条の意義と考え方①
https://manitax.jp/post-2797/

 贈与税は、相続税の補完税です。贈与税が課税される行為について、将来に相続が生じるような特殊関係者での行為に限定されるべきであるとの考え方は一見もっともらしく見えます。

 これについて、仙台地裁平成3年11月12日判決では、「贈与税の納税義務者を相続税の納税義務者とは別個に定めており、沿革的には贈与税が相続税の補完税としての性格を有しているとしても、理論的には、贈与による財産の取得が取得者の担税力を増加させるため、それ自体として課税の対象になるというべき」と判示して、相続を生じる特殊関係のある者相互間での贈与だけではなく、いわゆる第三者間の贈与について、贈与税を課税することを相当としています。

 そして、第三者間において利益の授受があった場合のみなし贈与課税についても、東京地裁平成19年1月31日判決では、「租税回避の問題が生じるような特殊な関係にあるか否かといった取引当事者間の関係および主観面を問わない」と判示して、相続を生じる特殊関係のある者相互間での贈与だけではなく、いわゆる第三者間の取引における、利益の授受について、みなし贈与課税することを相当としています。

 このように贈与税は、沿革的には相続税の補完税の性格を有しているとしても、贈与による財産の取得が取得者の担税力を増加させること自体が課税の対象になるのであり、将来に相続が生じるような特殊関係者に限定されることなく、第三者間での贈与についても贈与税の課税がされることとなります。

 そしてそのことは、本来の贈与により取得した財産への課税であっても、みなし贈与課税であっても同様と考えられるのです。

〔参考〕仙台地裁平成3年11月12日判決
 「原告は、相続税法7条は、相続税の賦課、納付を回避するために生前に低額で財産の譲渡を受けたり遺贈を受けたりする租税回避行為に対する課税を目的とするものであり、原告がそのような意図を持たない本件には適用がないと主張する。
 しかし、相続税法1条の2は、贈与税の納税義務者を相続税の納税義務者とは別個に定めており、沿革的には贈与税が相続税の補完税としての性質を有しているとしても、理論的には、贈与による財産の取得が取得者の担税力を増加させるため、それ自体として課税の対象になるというべきであり、相続税法中の贈与税の規定もこれを前提とするものである。」
〔参考〕東京地裁平成19年1月31日判決
 「このような同条(相法7条)の趣旨及び規定の仕方に照らすと、著しく低い価額の対価で財産の譲渡が行われた場合には、それによりその対価と時価との差額に担税力が認められるのであるから、税負担の公平という見地から同条が適用されるというべきであり、租税回避の問題が生じるような特殊な関係にあるか否かといった取引当事者間の関係及び主観面を問わないものと解するのが相当である。」

 また、「利益を受けた場合」とは、利益を受けた者の財産の増加又は債務の減少があった場合等をいいます(相通9―1)。
 そして、そのような場合の例示として、相続税基本通達9―2から9―12までにその具体例が示されています。

 

[dropshadowbox align=”none” effect=”raised” width=”auto” height=”” background_color=”#f2f2f2″ border_width=”0″ border_color=”#dddddd” rounded_corners=”false” inside_shadow=”false” outside_shadow=”false” ]

【出典書籍】
みなし贈与のすべて
<ロギカ書房>

[/dropshadowbox]

記事に関する質問は一切受け付けておりませんので、ご了承ください。
ご質問がある場合は、こちら

関連記事

この投稿者のその他の記事