【質問】
税制適格要件には、合併の直前に支配関係があり、合併後に支配関係が継続することが見込まれているという「現在の要件」と「未来の要件」のほかに、支配関係が生じてから5年を経過しているという「過去の要件」があると聞きました。
そうなると、税制適格要件には、法人税法2条に規定されているものと、法人税法57条及び62条の7に規定されているものと2つあるという理解でよろしいのでしょうか。
【回答】
支配関係が生じてから5年を経過していない場合において繰越欠損金の引継制限・使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入を課すというのは、租税回避を防止するための規定であり、税制適格要件のひとつというわけではありません。
【解説】
1.制度の概要
法人税法57条2項により、適格合併を行った場合には、被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことが認められています。しかし、「企業グループ内の組織再編成については、共同で事業を行うための組織再編成に比べて適格組織再編成に該当するための要件が緩和されていることから、例えば、繰越欠損金等を有するグループ外の法人を一旦グループ内の法人に取り込んだ上で、グループ内の他の法人と組織再編成を行うこととすれば、容易に繰越欠損金等を利用することも可能となってしまう(『平成13年版改正税法のすべて』199頁)」ことから、同条3項では、支配関係のある法人との間で適格合併を行った場合に対して、繰越欠損金の引継制限が課されています。
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【出典書籍】
条文と制度趣旨から理解する合併・分割税制
<清文社>