評価会社が保有する子会社株式の評価

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株式評価

【質問】

弊社(以下、「P社」という。)が発行済株式総数の90%を保有するA社の少数株主から株式を取得し、100%子会社にすることを検討しています。
少数株主からの買取りではあるものの、P社における受贈益課税を回避するために、法人税基本通達により財産評価基本通達に定める原則的評価方式による評価を準用した評価額で買い取ることを検討しています。
この場合に、A社が保有しているB社株式は大会社に該当するのですが、小会社として評価をする必要があるのでしょうか。

【回答】

 課税上弊害がある場合を除き、大会社として評価をすることができると思います。

【解説】

1.一物二価

 現行法上、譲渡人にとっての時価が特例的評価方式であり、譲受人にとっての時価が原則的評価方式である場合において、特例的評価方式による評価額で譲渡を行ったときは、譲受人において受贈益課税の問題が生じます。そのため、ご質問のような事案では、譲受人における受贈益課税を回避するために、原則的評価方式による評価額で買い取ることが一般的です。

2.法人税法上の時価

 そして、ご質問のケースは、P社における受贈益課税の問題であることから、法人税の問題になり、法人税基本通達4-1-5、4-1-6において、法人税法上の時価について定められています。
 法人税基本通達4-1-5では、①6か月以内の売買事例があるもの、②公開途上にあるもの、③類似会社のあるもの、④それ以外に分けたうえで、同通達4-1-6では、③④の代わりとして、課税上弊害がない限り、財産評価基本通達に定める原則的評価方式、特例的評価方式によって算定することを認めています。ただし、下記の修正を行うことが必要になります。

(1)原則的評価方式による場合には小会社に該当するものとして評価を行います。
(2)土地(土地の上に存する権利を含む。)又は上場有価証券を有している場合には、算定基準日の時価による必要があります。
(3)純資産価額方式の評価に当たり、財産評価基本通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除することはできません。

 上記のほかは、財産評価基本通達に定めるところにより評価を行うことができるため、同族株主以外の株主については、特例的評価方式を適用することができ、議決権割合が50%以下のグループに属する株主の有する株式については、時価純資産価額の80%により純資産価額方式による評価額とすることができます(小原一博『法人税基本通達逐条解説』717頁(大蔵財務協会、八訂版、平成28年))。

3.評価会社が保有する子会社株式の評価

 さらに、上記の法人税基本通達において、評価会社が保有する非上場株式の評価について規定されていないことから、課税上弊害がある場合を除き、評価会社が保有する非上場株式の評価については、財産評価基本通達により算定した評価額を用いることになると考えられます。そのため、評価会社の子会社を小会社とみなし、かつ、当該子会社が保有する土地等及び有価証券を時価で評価する必要はないということになります。
 そのため、ご質問のケースでは、A社が保有しているB社株式は大会社に該当するものとして評価することになります。

 

【出典書籍】
非上場株式評価の実務
<日本法令>

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