株式譲渡と事業譲渡の税効果における有利・不利判定

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税効果

【質問】

 株式譲渡と事業譲渡の税効果における有利・不利判定を教えてください。

【回答】

 古い書籍において一部誤った認識があるので誤解を修正します。株式譲渡スキームは包括承継であり、後述する未払い残業代、簿外債務、訴訟リスク等が自動的に引き継がれ、事業譲渡スキームにおいてはそれらが一切遮断できるとの記載も多く見受けられますが、厳密には違います。

 仮に事業譲渡スキームを採用したとしても、当該事業と簿外債務や訴訟リスクは事業全体かその一部かを法律的に峻別することは極めて困難です。例えば事業譲渡の対象に不動産があり、当該不動産に土壌汚染があったとします。この場合、リスク遮断は、当該不動産の土壌汚染の除去や、それに係る費用についての譲渡価額減額等々、個別具体的に遮断は可能です。しかし、事業については一部を切り取ったところで、簿外債務や訴訟リスクは、当該一部にひも付きになっているわけではないので、完全に遮断することはできないのです。

 M&A専門の大規模ローファームにおける法務実務では、上記の認識が通常です。中小・零細企業においても全く同様のことがいえます。結果として、株式譲渡スキームか事業譲渡スキームか個別資産売買契約かはタックスプランニングのシミュレーション上での有利・不利判定においてのみ機能するという考えであるべきです。

 勘所だけおさえれば、有利・不利の判定はコンサルティング現場でもおおよそ判定できます。
 株式譲渡VS事業譲渡の詳細なタックスシミュレーションは類書に大量に掲載されているので、本書では誌面の都合上、勘所を中心に解説します。

 

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【出典書籍】
Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる 中小企業・零細企業のための M&A実践活用スキーム
<ロギカ書房>

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