MEBO スキームを選択した場合の留意点

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MEBO スキームを選択した場合の留意点を教えてください。
MEBO は減少傾向にあります。それでも実行する場合には、下記の留意点があります。

【解説】

 役員・従業員から後継者を選択する、金融機関や取引先から後継者を招聘する等が考えられますが、自社の経営理念等を理解している役員・従業員から選択する方が社内・社外の関係者から理解を得られます。

 役員・従業員への親族外承継には事業のみを承継させる場合(所有と経営の分離)と事業と株式を承継させる場合(所有と経営の一致)があります。株式承継においては税務、株式購入資金の準備(借入金)に係る個人保証の問題が生じます。現在、第三者M&Aが活況を擁していますが、それは役員、従業員が上記の問題に関わりたくないからです。当該問題に関する今後の動向はQⅠ-1の通りです。

 この場合、留意点として、

 ・承継に向けた関係者への理解
 ・個人保証、担保の処理(QⅠ-1に留意)
 ・株式と事業用資産との区別

が挙げられます。実務では、個人保証・担保が最大のネックとなります。

 中小・零細企業においては、現経営者は個人保証をしていることがほとんどです。後継者も連帯保証人に加えられることがあります。現経営者の自宅等の個人資産の物的担保については、他に十分な担保がない限りその解除は困難です。そのため、事業承継に向けて債務の圧縮を図るとともに、金融機関との交渉や、後継者の負担に見合った報酬等の再設定等は必須です。役員や従業員等が資金調達する手段として、「日本政策金融公庫」、沖縄の場合は「沖縄振興開発金融公庫」が事業承継に関する資金の融資支援というのがあります。新規事業と異なり、承継の場合は、顧客や技術が既にあるため、返済計画等の見通しは比較的容易です。

 この点、QⅠ-1の週刊税のしるべ令和元年10月21日第3383号をご参照ください。

 従前、事業承継税制の適用要件の1つに「後継者が親族であること」がありました。しかし、平成27年1月1日以後の遺贈又は贈与により、この親族要件が撤廃され親族外の後継者も適用を受けられるようになりました。平成30年度の事業承継税制(特例)制度導入により各種要件を満たした場合、親族外に事実上の無税移転を行うことが可能となります。しかし、実務では原則として実行しません。

 理由は、拙著『Q&A中小・零細企業をめぐる事業承継戦略と実践的活用スキーム』(ロギカ書房)をご参照ください。

 

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【出典書籍】
Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる
中小企業・零細企業のための M&A実践活用スキーム
<ロギカ書房>

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